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blood&witch
官能リレー小説 - ファンタジー系

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blood&witch 66

「そうか、すぐ行く」
そう言ってナリナは足早に部屋に戻っていく
その後ろから、
「フェイクさん、ナリナさんのためにって、一生懸命料理を作ってましたよ」
と、ニコニコ顔のフルルが言うと、
「そっ、そんなの知ったことか!むしろ当然だろ!あいつが私の料理を手抜きしたら、即処刑ものだ」
と、後ろからでもわかるほど耳を赤くしてナリナは答えた


「くっくっくっ…」
「どうしたんだ?アイン」
「いや、おもしろい痴話喧嘩を見たもんでな」
「また望遠鏡で人の唇を読んだのか…あんま良くないぞ、その覗き見趣味」
「いいだろ。それにこの特技だって役に立つだし」
「確かにな…それで警備のほうはどうだ?」
「見た感じ、そんなにいないなぁ。パッと見で10人ほどだから、まぁ船内の奴らを足しても、25人ぐらいじゃないか?」
「じゃあ何とかなるな。他の奴らに準備するよう、知らせてくるわ」
「おい、いつもの皆に言っとけよ」
「素早く迅速に、そして船や人間をなるべく傷つけるな、だろ?わかってるよ、船長殿」

「どした、喰わねえのか?」
「い…いや、食べるが……」
珍しくおずおずとナリナが食卓につく。 
ナリナの目の前にあるのは、どう見ても他のみんなのとは違った。見るからに甘そうである。 
「フェンリル、どうしてあの魔女だけ料理が違うのですか?あなたが作ったのでしょう?」
疑問に耐えきれず、ビーザスがフェイクに問う。カレーを口に運びながら、フェイクはしれっと返答した。 
「あれじゃないと食べないからな」
まぁ、確かに甘党のナリナさんはカレー…食べないだろうな、とステイは思った。
フェイクの作ったカレーは美味いのだが辛かった。やはり料理というのは作る人間の嗜好が深く関わるな…とステイは一人納得する。 
が、納得できない人が一人。 
「な、納得いきませんわ!! な、何故魔女だけ特別扱いされるんですの!?」
「ビーザスは辛いの大丈夫だろ?」
鈍いフェイクはビーザスが怒る理由を料理の違いと考えた。 
ある意味大当たりだが、大はずれである。 
「さぁ、冷めないうちに……」
フェイクがビーザスに席に座るよう、促そうとしたその瞬間……船体が大きく揺れた。 
その振動でステイとフルルは椅子から落ち、ナリナは杏仁豆腐を手に持ったまま椅子ごと後ろにひっくり返り、ビーザスは混乱の最中にこれはチャンスとフェイクに抱きつく。 
「いつつ……大丈夫ですか、皆さん?」
「痛ぁ……お尻打ったぁ」
「私は大丈夫ですわ♪」
「あ!き、貴様、触れるなと言っただろうが!!」
「知りませんわ♪フェンリル、ありがとうございま……」
全員の視線がフェイクの顔に集中し、全ての動きが止まった。 
フェイクの顔面にはパイ生地の如く、カレーが皿ごと直撃していたからだ。 

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