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blood&witch
官能リレー小説 - ファンタジー系

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blood&witch 52

ますます訳がわからない。
「どういう事ですの?」
「死霊術師だ。おそらく派遣先はギリアムと同じ所だろうよ。だからナリナを狙ったんだ」
不気味な響きにビーザスとフルルの血の気が引く。
「これは急がないとまずい」
ステイが身震いする。そして全員で屋敷を飛び出し、騎士の館へと走った。
(あの鎧め…まんまと騙されおってからに…)
大量の死者の書の偽物の複製や黒魔術の道具、魔女の血が集められた部屋を見つけたナリナはため息をついた。散乱した羊皮紙だけでなく、壁や床、天井にまで書き散らされた術式や死者復活の理論が、騎士の切実な思いを現している。
「…ここまで来ると…哀れみすら感じるな」
そう呟いた時、廊下を二つの足音が近づいてくるのを感じだナリナは古びた机の陰に身を隠した。一つは重く金属音を含んだ足音。恐らくは騎士だろう。もう一つは軽い足音。
(黒幕…か)
ナリナは息をひそめて待った。
扉が開かれた。金属音はやはり騎士であった。そしてもう一人は目深くローブを被っていて、体格では性別すら判断できない。
「貴女がナリナ・イスファール…噂はかねがね聞いていますよ」
ローブが干からびた声で喋りかけた。どうやら高齢の男性らしい。
「貴様が主導者か。貴様は誰だ、何が狙いだ」
「ワシはただの親切な老いぼれ魔術師じゃよ。この騎士の願いを叶えてやろうとしてるのじゃ」
ふぉっふぉっ…と笑う。
「ぬかせ、何人人を殺した?貴様が親切を口にする資格はない」
「フォッフォッフォッ、これはまた心外なことを言われる。この騎士の望みは妻を蘇らせること。そして私は蘇生術の研究が出来る。互いの利益が一致してるじゃないですか」
「そうやって、その騎士を利用してるだけではないか!外道…死霊術師ミササギ!!」
ミササギと呼ばれた瞬間、ローブの奥で老人の眼が光ったような気がした。
「…お喋りが過ぎましたな。さぁ、早く妻のもとへ向かうとしますかな」
「ああ」
騎士は無意味な抵抗をするナリナを簡単に捕え、抱き上げた。
「ええい!放さんか!貴様は騙されているのだぞ!貴様のしている事は全て偽りだ!」
騎士は黙っている。何も喋ろうとしない。

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