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blood&witch
官能リレー小説 - ファンタジー系

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blood&witch 50

一着の服が目に付く。漆黒に美しい金糸の刺繍が施された服だった。必要最低限の露出で大人
の女性感を出している。上品で、それでいて少し色っぽい。
「これは…なかなか…」
妙に気に入ってしまった。と、同時に着たいという衝動に駆らる。
…。
……。
………。
「私は馬鹿か…」
着てしまった。いつ殺されるかわからない状態で、こんな呑気な事をしている自分を嘆いた。
「さっさと元の服に…ん?」
ナリナの目に写った物…それは本だった。洋服に埋もれるようにして存在しているその本を引っ張り出した。
「…なるほど…だから私の血か…」
ナリナはクスクスと笑った。
「まさか死者の書の偽物があるとはな。驚きだ。あの騎士はこれを読んだのか…」
死者の書とは生物の蘇生法等、生命に関する魔術が記された魔術書で入手が困難なため、適当な偽物が出回っているのだ。
「さて、問題はどうやってあの騎士に【こいつ】が偽物だと信じさせるかだが…ん?」
部屋を歩き回ると、窓際に写真が飾られ、その中には騎士と微笑む女性がいた。
「なるほど。この女がイセリアか。」
「…私の…イセリア…」

いつの間にか自分の後ろにいた騎士に居たことに思わず後退りするナリナ。

「来たなら来たと言ったらどうだ。」
「その服…」
「え…あぁこれか。着てみたくなったから着ただけだ。返して欲しければもとに戻してやっても構わんが?」
「…イセリア。」

そう言った直後、騎士はナリナに抱きついてきた。
「なっ!?痛…は、離せ!死ぬ!」
騎士はナリナを解放した。
「…死なれては困る…」
「貴様は私を殺したいのか生かしたいのか…」
「お前は…似ているのだ……」
「似ている?」

再びナリナは写真を見る。
その女性はフードを被っておりあまり顔が見えないが、唯一見える口元は確かにナリナに似ている。

「似ているならば、私をどうしようと言うのだ?」

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