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blood&witch
官能リレー小説 - ファンタジー系

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blood&witch 33

フェイクは突如目を見開き、苦しむように首をおさえ暴れだした。何かを喋っているようだが、とてもではないが言葉として聞き取れない。唯一かすかに聞こえたのは、「甘い」という単語だけだった。
数分後、フェイクは体力と共に正気を取り戻した。
「何度飲まされても酷い味だ…そのうち味覚がイカれるかもしれないな」
「仕方あるまい。良薬口に苦しだ」
ナリナの勢いはすっかり元に戻っていた。
(さっきフェイクさん、かすかに“甘い”って言ってたような…)
(料理がアレだから、薬も相当甘いんだろうな…)
親子は密かにそんな事を思っていた。

「でも凄いですね。母の持ってた蔵書の中にも、そこまで速攻性のある強力な薬の作り方は載ってませんよ」
フェイクが復活した後、再びゲセルマイル行きの港へ向かう道中フルルがナリナに問い掛ける。
「あの薬はイースファル家にのみ伝わる秘伝の薬だからな。材料もなかなか手に入りにくいものもあるから目にするのも貴重なのだぞ」
誇らしげに話すナリナの隣りでは
(甘党なのは先祖伝来か…)
とげんなりするフェイクがいた。
そんなフェイクを普通の人間なら肉眼で見ることが出来ない距離にある小高い丘の上から見つめる影があった。
「フェンリル…ようやく見つけましたわ…」
整った顔立ちだが、どこか冷たい印象を与える表情と、セミロングのブロンドの髪をなびかせながらその影の人物が呟く。背中にはなにやら呪文が書かれた布に巻かれた長い棒のようなものを背負いながら。
その道中
小さな町の宿に泊まることにした4人。フェイクとナリナ、ステイとフルルに別れて部屋で寝た(もちろんナリナはベッド、フェイクは床)のだが…
ナリナは夢を見ていた
『ねぇ…』
暗闇の中、どこからか声がする
『ねぇ…』
「なんだ」
ナリナは声のするほうを見ながら答えた
暗闇の中に、うっすらとセミロングの金髪の髪が見える
『あなたにとってフェイクは何なの?』
…前にも聞かれたな…「フェイクは私の奴隷で下僕だ」
そう答えると、今度は別の方向から声がした
『それと護衛と性欲処理のためか』

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