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blood&witch
官能リレー小説 - ファンタジー系

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blood&witch 23

「お二人は仲良いですね。まぁ僕たちもフルルが産まれて3人で幸せに暮らしていたんですけど…15年前にその幸せは壊されてしまったんです…」
ステイの表情が曇り、言葉が詰まった。そっ…とフルルがステイの手を取り互いに頷くと再び話す。
「僕とフルルが家を離れてる間に妻が組織に襲われたのです。妻もそこそこ魔力はありましたがナリナさん程の大魔女ではありませんでしたから…応戦はしたのでしょうが、僕たちが帰宅して見たのは壊れた家と血を抜かれた妻の遺体でした…」
ステイは唇を噛み締め拳を握りながら小刻みに震える。
「今でも悔やむことはあります。あの時僕が家にいたら妻を守れたのではないか…幼かったフルルを悲しませなくてすんだのではないか…と。でも過ぎてしまったことは戻せません。しかし僕たちは妻を殺した刺客を…組織を許せないんです。だから僕はフルルに体術を教え、フルルも妻が遺した魔術書などを元に魔法を覚えて組織を倒すことを目標に生きてきたのです。」
「そこで私たちは兄妹と名乗り商売と称して各地を廻りながら情報を集め来たる日に備えていったんです」「…なるほどな、つまり貴様たちは私達と共に神の眼を倒したい、と」
静かに話しを聞いていたナリナが尋ねる。
「はい…その通りです。商人と偽っていても組織の者と出会って闘うこともありましたから、粛清リストに載ってしまい、僕とフルルだけでは正直厳しかったんです。3年前にも傷を負った時にモーラスさんに出会い、匿って貰いながら時期を見ていたんです」
「モーラスさんからいずれこの街に同じ志を持つ仲間が現れる…それまでは力と情報を蓄えなさいと言われたんです。だから私達はこの街を拠点にしてモーラスさんからも魔術を教えて貰いながら過ごしてきたんです」
「……事情はわかった」
「じゃあ…!」
フェイクの言葉にフルルは身を乗り出す。
「まぁ、まてよ。ひとつ、聞きたい」
「……なんですか?」
「もし、俺があんたらの仇だったら……どうする?」
「……!!」
「十五年前なら、俺ぁまだ抜けてないからな。もしかしたら、俺が殺したかもしれないぜ?ちなみに、心辺りは無い」
フェイクの問いに、二人は口を閉ざした。
数分、沈黙が流れ、ステイが口を開いた。
「その時は、あなたを殺します。そして、組織を潰します」
「……組織潰しより、仇討ちを優先するんだな?」
「……はい」
フェイクの再びの問いに、ステイは鋭い目で頷いた。
「……だとさ、ナリナ。こいつらの決意は固そうだ。無視したら、二人で突っ込んじまいそうだし、一緒に旅しても良いんじゃねぇか?」
「……交換条件がある」
今まで口を閉ざしていたナリナが言った。
「な、なんですか?」
突然の交換条件に、ステイも焦りが見える。
「……モーラス、ラグナロクの場所を教えろ。さすれば、この二人を預かってもいい」

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