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blood&witch
官能リレー小説 - ファンタジー系

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blood&witch 19

「もう腹へったのか?馬車の中でもマスターから貰った果物食べまくってたっつーのに…」
呆れ顔のフェイクをよそにずんずんと街中へ向けて歩くナリナ。

「…あのう、良ければ美味しいお店教えますよ」

「「え?」」
不意に後ろから声をかけられた為振り返ると、そこには大量の荷物を抱えた20歳くらいの青年と18歳くらいの少女が立っていた。
「えぇ…と、確か同じ馬車に乗ってた方でしたよね?」
「はい、私達はこの街で店を開いてるものですから美味しいお店くらいならいくらでも知ってますから」


ナリナとフェイクはとりあえず声をかけてきた二人について街へと入っていく。二人はステイ=バンとフルル=バンという兄妹で異国で仕入れた品物を売って生計を立てているとのことだった。

街の中は南国特有の開放感あふれた活気で、道すがら露店の果物の甘い香りにナリナは酔いしれていた。

「ここです」
四人が着いた先は一見普通の民家で食堂には見えなかった。
「…本当にここが店なのか…?」
訝しげな目でナリナが尋ねる。
「入ればわかりますよ」
ステイとフルルはにこやかに言うと二人を置いて民家に入っていった。

「…とりあえず入るか…?」
「そうだな…念のためすぐに戦闘体制に入れるようにだけはしておけ」
「ああ…」

そう言うとナリナとフェイクは注意深く建物へと入っていった。
ドアを開けるとそこには椅子やテーブルなどは一切置いておらず、階段と各部屋の扉しか見当たらなかった。
緊張した面持ちの二人の背後から

「ようこそいらっしゃいました、旅の方。そのまま突き当たりのドアを開けて下さい」

背中の丸まった人当たりの良さそうな笑顔をふりまいたシワだらけの老人が二人の背後から声をかけてきた。
二人は驚愕した。ナリナだけでなく、フェイクまでもが声をかけられるまで背後に気配を感じなかったのだから驚くのも無理は無い。
「じいさん…何者だ?」

「ワシか?ワシはあの子らの後見人をしておるもんじゃよ。ちぃとばかしヌシらを驚かせ過ぎたかのぉ。じゃが幾ら力を封印されてるとはいえまだまだじゃな。ふぉっふぉっふぉ」
「何故それをっ!?」
もはや殺気だっているフェイク。と、そこに

「モーラスさん、準備出来たよ」

バンっ!と勢いよく突き当たりのドアが開かれ向こうからステイが呼びに来た。
「モーラス…?」
「どうしたナリナ?」
「いや…どこかで聞いた名だと思ってな…」
思案顔のナリナにモーラスと呼ばれた老人は軽く笑むと二人をドアの向こうへと促した。

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