幼魔鬼譚〜悪戯好きのアリス〜 99
菊名は急いで携帯を拾うが画面にはオートロックが表示されていた。
いくつか出鱈目に入れてみるが『ロックNo.が違います』と表示される。
さらにはアンテナの感度とバッテリー残量が残り2本から1本に減った。
菊名は焦る自分を落ち着かせていくつかを試してみる。
白面の誕生日・電話番号の一部・etc
「あ〜埒あかん。白面は何でこんな面倒なことするんや」
叫びたいのを堪えてさらに幾つか試してみる。
しかしすぐにナンバーのネタが尽きてしまう。
情報源がバス内での白面と猿達の会話だけでは当然である。
「あーもうっ! あのろくろっ首!」
思わず携帯を持った手を振り上げ、壁に投げつけそうになるが。
「ろくろっ首……ろくろくび……」
ふと思いつき、携帯にナンバーを打ち込む。
「……よっしゃ! 大当たりや」
ロックが解除され、携帯がかけられるようになる。
ロックナンバーは『6969』だった………
ホテルに襲撃をかけているメンバーは予想がつくが、携帯にかけてもお取り込み中だと出る確率が低い。
菊名は本拠地の電話につないだ。
「菊名や。時間もバッテリーもないから質問なし!
至急優先コールで一斉連絡せぇ。
ホテルに襲撃掛けている奴らに退避を。ホテルは爆破される。近隣にガス漏れしてるとでも情報流して回りも避難させぇ!
もう五分もないでぇ。とにかくホテルから逃げるんや!」
ぴぴっぴぴっぴぴっぴ〜!
携帯がバッテリー切れを伝えて電源を落とした。
(電波も最悪やったけど、話通じてくれたと信じるしかできへん。みんな、生きるんやで)
―――ホテル地下?階―――
「くそっ!、まさか船で逃げるとは…」
地下水脈を前に、烏天狗の姿に戻った蛮悟が、忌々しそうに呟いた。
ホテルの203号室で捕まえた擬螺に、白面と娼婦達の居場所を聞き出した蛮悟達は、すぐに地下へと向かった。
しかし途中、炬俐の手下達と一戦交えた為、エレベーターホールについた時には、すでに炬俐によってエレベーターが落とされた後だった。
なんとか非常用のはしごを使い地下に降り、地下二階で白面達を発見。