幼魔鬼譚〜悪戯好きのアリス〜 66
「はっ、はい! 誓います!」
思わず返事をしてしまった色餓鬼を見て、ニッコリ微笑むアリス。
「あの、これで終わりで?」
「まだよ」
アリスは槍を右手で持ち、自分の左手の掌に少し傷をつけた。
流れ出る血を口に含むと……
「んっ…」
「んんっ!!!」
口付けをし、血を色餓鬼の口の中へ流し込んでいく。
「んっ…んっ……」
「んぐっ…ゴクッ、ゴクッ……」
流し込まれた血を色餓鬼が飲み干すと、アリスは口を離した。
「それじゃあんたは寮に行ってなさい。人間に姿を見せちゃ絶対駄目よ」
「ふぁ〜い…」
間の抜けた返事をし、夢見心地で寮の方へ歩いていく色餓鬼。
「はい、それじゃ次」
こうしてアリスは、全ての色餓鬼達に自分の血を飲ませた。
この時飲んだアリスの血の効力が、どれだけ自分達を束縛することになるのか。
その時色餓鬼達は、まったく気付いていなかった。
久々の外界に時代の違和感など忘れて思い思いに寮の中に散っていった。
寮の中では部活の朝連組みが目を覚ましていた。
寮母さんも朝食の支度に既に動き始めていた。
「オハヨ〜」
「オアオウ…」
廊下の水道に顔を洗いに来た女子達は締りの無い挨拶を交わす。
アリス達の淫の気に当てられて淫夢を見ていつもと違う目覚めに体が火照っていた。
寮母さんにいたっては(あんな夢を見て、私もまだ若いって事かしら?)とどこか嬉しそうだった。
ここの寮には各部屋ごとにバス・トイレがあるがあまり使われていなかった。
それは2月に一度、電気水道の使用量が少ない部屋は表彰されて特典が貰えるので、みんな共用の風呂、トイレ、洗面所を使っていた。
そのおかげでコミュニケーションが取れるように鳴っていた。
夏はクーラー代節約で窓を開けて寝ていたので、岩に封印されていた色餓鬼には夏の夜は無防備な下着姿を拝めるありがたい季節だった。
「う〜、変な夢見たよぉ」
「どんなの?」
「覚えてない」
「なんじゃそりゃ」
朝連組み以外でまだ夢の中にいる女子は淫らな夢に振り回されていて、その様を色餓鬼は喜んで見ていた。
それ以外にも生着替えやトイレなどを見てはしゃぎまわっていた。