妹(スール)は男の娘!? 6
「どうぞ」
中から声がした。
それを聞いて、深雪様が扉を開ける。
「あら深雪、遅かったのね」
「ええ、ちょっと人探しをしておりまして」
人探して…
「深雪もやっと妹を持つ気になったのね」
入ってすぐ視界に現れた、3人の女子生徒。
…深雪さまのお姉さまがこの中にいるのか…
一人は黒髪ショートボブ。さっきの台詞を発した方だから…この人が深雪さまのお姉さまだろうか。
いかにも強気そうな切れ長の瞳…視線が痛い。
その隣は濃い茶髪のロングヘアのお方。オレンジ色のヘアバンドが目立つ。
こちらを見てはニヤニヤと微笑む。なんか怖いです。
もう一人は少し明るい茶髪のショートヘア…外国の血が入っているのかと思うような顔立ちだ。
瞳の色は碧い…カラコンじゃないよね?
「初めまして。緊張してるかしら?」
「えっ、あっ、あのっ」
ダメだ。何も言葉が出てこない。
ヤバイ。何がヤバイってよくわからないくらいヤバイ。
「優子、そんな怖い顔するからこの子緊張しちゃうんだよ」
後ろのハーフっぽい先輩が深雪さまのお姉さま?に向かって言う。
「私はいつもと一緒よ」
彼女はキッパリと一言。うん、怖くない。俺が一人で緊張しているだけ。
小学校、中学校とこんなところに縁のなかった人間だ。
ましてや今は性別を偽って学校にいる状態。何かボロが出たらそこで人生終了になりかねない。
…バクバクする心臓。ただでさえ弱い俺のメンタルはもう限界…
「えっと、私は…って、大丈夫!?貴女…」
…目の前の先輩の顔が歪んで、薄れて…
…しばらく、気を失っていたようです、俺…
……………
…あれ?俺、こんなところで何やってたんだっけ?
「あ、よかった…目が覚めたみたいね」
「え…」
先ほどの、深雪さまのお姉さま、確か優子さまだっけか。
「いきなり気を失って倒れるんだもの、ビックリしちゃった」
「は、はい…すいません…」