妹(スール)は男の娘!? 5
…その日から数日は、平穏に過ぎていく。
授業が終わり、荷物をしまい帰り支度をする。
特に部活とかも考えていないのですることはない。運動には自信はそこそこあるけど、女のはずが男でしたとばれたら大問題、そういうのは避けたいと思っている。
さっさと帰ろう、そう思った。
「いたわ…貴女ね」
え、俺が何か?
その言葉の主…深雪さまだった。
「えっ、あの…」
「この前のこと、覚えててくれた?」
深雪さまはにこやかに話し、俺に近づいた。
「うん、今日は大丈夫ね」
…タイのことを言っているのだろうか。
さすがに毎日曲がっているようでは鳳桜の人間として終わってます。
「そういえば自己紹介してなかったわね…私は小田部深雪」
「あ、あの、小野寺翼です」
しかしよくよく見ると物凄い美人だ。
背も俺より高いし足も細いしモデルのような人だ。
「ふふ…可愛いわね」
「いえ…」
本当に女だったら嬉しいんだろうが、あいにく私はそうではないのです。言えないのがもどかしいです。
「もうお帰りになるところだった?」
「あ、はい」
「そう、申し訳ないのだけど、少し付き合ってくれるかしら」
本当は早く帰りたい。しかし、あの深雪さまのお誘い、断るわけにはいかなかった。
その中で、先日雪絵さんが言った、スール関係のことも思い出していた。
…いや、まさかね
…深雪さまともあろう人が俺なんかとね
そう思っていた。
深雪さまについていく形で、しばらく歩く。
校舎から離れたところに、ぽつんと立つ洋館?のような建物に案内される。
「なんでしょう、ここ」
「生徒会室よ」
生徒会…そういえば雪絵さんが言ってたな、深雪さまは生徒会の役員だと…
「あ、あの…」
「心配することないわ。優しく迎えてくれるはずよ」
…俺、完全に部外者なんですけどいいんでしょうか。
洋館の外の階段を上り、2階の部屋の前に来る。
『鳳桜女学園 生徒会室』
年期の入っていそうな表札だった。
深雪さまが扉をノックする。