妹(スール)は男の娘!? 4
その後、雪絵さんからこの学校における『姉妹制度』について話を受けた。
『姉妹制度』…普通の先輩後輩の上下関係ではなく、個人的に強い結びつきを持った2人を『姉妹』(スール)と呼ぶのだという。
上級生から下級生にロザリオを渡すことで成立しその関係は結ばれる。下級生は上級生のことを『お姉さま』と呼ぶのだという。
「雪絵さんにはその『お姉さま』はいるの?」
「私はまだ…あまりそういう気はないかな…厳正なルールではないから」
…その日、帰宅後…
今や男として生活できるのはこの帰宅後と休日くらい。
俺の気の休まる数少ない時間…まあ暮らしてるのは歩の家なんだけど。
「ふー♪」
歩が風呂から上がってきた。
そもそもコイツが…というのはもうよそう。いつまでも引きずっていてはいけない。
そういえば、コイツはお姉さま…とか、作る気はあるのだろうか。
「なんか翼が普通に男の格好してるほうが違和感あるよねぇ、もう」
「家でくらいそうさせてくれよ」
俺の数少ない落ち着けるときなんだからさ。
「昨日はごめんね、ちょっと用事があってさ」
「ああ、気にするな」
「翼、初めて一人で行動して、どうだった?」
「んー…そう言われてもな…」
…そりゃ、男なのに女の格好して一人でいるなんて不安しかない。
おまけに今朝の出来事は…
…ただ、それも悪いことばかりではなかった、と考える自分も、心のどこかにいたりする。
「私だって、3年間ずっと一緒にいれるわけじゃないと思うのよ」
「ああ、そうだよな」
「だから、これから、ちょっとずつ、あると思うんだ」
「うん…」
まあ、それも覚悟はしないといけないよな。
…ところで
「俺も歩に聞いてみたいことがあるんだけどさ」
「何?」
「今日、雪絵さんから話を聞いてね…歩は、スール関係とか、考えてるのか?」
俺の問いに歩は少しビックリしながらも
「うーん、私はまだ…その制度も、聞いたばかりなんだよね」