妹(スール)は男の娘!? 3
「昨日、翼さん、少し遅れてきてたよね?」
「うん、ちょっとね」
「そのとき、私偶然見ちゃったんだけどね…」
………??
偶然見た?それって何?
彼女はスマホを取り出し、俺に画面を見せる。
それは…あの朝、俺が謎の美人の先輩?にタイを直してもらうあの瞬間。
「…え、ちょ、雪絵さん、なんでそれを」
「ん〜、偶然だよ偶然」
偶然にしては出来すぎてる、このアングル。
先輩がタイを直してる瞬間、ピント、バッチリじゃないか!
「え、いや、その、それは…」
「深くは聞かないでおくよ。あと、みんなには秘密にするから」
…本当だろうか、雪絵さん、めっちゃニヤけてますけど。
「…で、ところで、この先輩、誰か知ってる?」
「…翼さん、知らなかったの?」
雪絵さんはビックリしたように目を見開く。
え、俺の反応って間違ってた?
「いや、まったく…」
「うーん…あ、でも、翼さんは高校からここに入ったんだよね、仕方ないといえば仕方ないか」
…確かにそうだが。
「2年生の小田部深雪さま。生徒会の役員のお一人で、名家のお嬢様らしいの」
そ、そんな人が…
「結構気難しい性格らしいんだけど、これ、見てみてよ」
「うん…?」
雪絵さんの持つスマホを、もう一度よく見てみる。
その深雪さまとやらは、口元が緩んでおり、確かに笑っていた。
「笑ってるでしょ」
「うん」
「深雪さまって、人前じゃあまりこういう顔しないらしいの」
「だから、何が言いたいの?」
「翼さんのこと、結構気に入られているかも」
えええ!?マジで!?
俺みたいな冴えないのが、あんな美人なお嬢様に…
しかも、俺、男です…なんてことは間違っても言えない。
「翼さんが深雪さまの妹(スール)になったら、すごいことだし、羨ましいよね」
「す、スール?」
「あ、それも知らなかった?この学校の制度」