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後始末な人生も悪くないよねって思った
官能リレー小説 - 学園物

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後始末な人生も悪くないよねって思った 24

なければ自分で箱買いでもしてこようと思ったから、この差し入れはすごくありがたい。
このクソ暑い中自力で持って来てくれた彩にも感謝せねば。
グラスに氷を入れて、キンキンに冷えたパイナップルジュースを用意する。

「ふいー、生き返ったぜぇー」
「ホントもぉ、おじさんに頼めばよかったんじゃないぃ?」
「今日は誰も手が空いてなかったのよ、それに唯には私から直接プレゼントしたほうがいいと思ってだな」

この数か月でいろいろ失ってきた私にとっての女神様である。

「いつもホント感謝してる…彩がいなかったらどうなっていたか分からないもの…」
父さんから一応送ってくる生活費だけではやっていけないのは目に見えている。

「だから一緒に住めばよかったのに…爺ちゃん婆ちゃんは毎日心配してんだぞ…」
ここに越してくる前、そんな話しも確かにあった…

「それはね…私がいることで彩に迷惑がかかっちゃだめだから…」
「私は全然平気だよ。外野がどうこう言おうと唯を守ってあげたかったんだよ」

それはありがたいと思った。
でも、彩と一緒に住むことで、合格を取り消された高校への未練が再燃しそうで、私は断った。
しかも、その高校を選んだのは私の意志で、彩がついてくる形で受験したのに…

「彩は、友達とかできた?」
「まあ、それなりにね」

やっぱり彩はどこか私と違うんだなって思う。

マイペースでありながら他人に気を使い、困った時に手を差し伸べてくれる。
私とのことだってそうだ、他の人たちはあの事件で離れていったにも関わらず、彩と彩の家族だけは、世間が何と言おうが味方になってくれた。
うちの学校にも彩みたいな子がいてくれれば、私と凌ちゃんはこんなにも肩身の狭い思いをしないで済んだ筈だ…

「アイス食べようよ、アイス…。ハーゲンダッツの高いやつ、山ほど買ってきたんだからぁ」
ハーゲンダッツかぁ…、お兄ちゃんとストロベリーを取り合ったことがつい昨日のことみたいに思い出しちゃうよな…

冷凍庫にいったんしまった大量のアイス。
毎日食べても当分なくなることはない量。しかもハーゲンダッツまで。
もっと安いのたくさんあるのに、それを選んでくるところが彩、彩のご家族の優しさというか…

「ほい」
「ありがと」

彩はバニラ。
私はチョコレート。

「一仕事した後のアイス。コレが最高なんだから」

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