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駆け抜ける、青春
官能リレー小説 - 学園物

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駆け抜ける、青春 2

悲惨な事態を救うために招聘されたのが今の陸上部顧問―前川悠平である。
大学時代は箱根駅伝で活躍、山下り・山登りで見事な走りを披露し、爽やかなイケメンであったために「山のプリンス」として一躍名を馳せる。
実業団でも一線級で活躍し、トラック種目でオリンピックにも出場した。
彼の指導の基本はデータと対話が軸という、あらゆる意味で総監督とは対極にある男である。



「みんなお疲れさま!いい走りだったよ!」
優勝した駅伝メンバー5人を出迎え、ミネラルウォーターを手渡す女性。

「ありがとうございます、奈緒美さん」
「えへへ、愛未ちゃん、最後の1kmすごかったよー」

前川奈緒美(旧姓・一木)。
顧問の前川悠平の妻であり、当時の勇敢な女子部員、その人でもある。

4年前のあの事件から桃陽学園が復活できたのは奈緒美にとって感無量であった。
その4年前に陸上選手としての夢を絶たれた故に余計思いが強かった。

奈緒美は中学生時の陸上競技で全国レベルの結果を出し、桃陽学園にスカウトされて入学。
そこから華やかな高校での陸上選手生活が始まると思いきや・・・
当時の陸上部は伏魔殿であった。

固い結束力と不屈の闘志から、総監督の名を取って『常勝岩間軍団』と呼ばれた陸上部。
だがそれは信頼関係とか切磋琢磨の世界ではなく、部員の全てが敵で蹴落とし合う世界だった。
そんな中で総監督岩間は恐怖で部員を支配していた。
逆らう事は一切許されない。
部員は学年関係無く岩間に従い結果を出すものから順番に階級が定められ、階級が上の者は下の者に学年関係無く好きに扱っていいとされていた。
つまり、岩間に逆らえば階級を落とされ他の部員達から酷い扱いを受けるのだ。
これでまず殆どの者は岩間に従順になっていった。

そんな環境だから部員同士で監視し合い、岩間に批判的な言動があると密告し合う。
密告した者の階級が上がり、密告された者の階級が下がるせいで部活内はある意味統制されて行ったのだ。

そして岩間に媚を売った者の優遇される。
故に岩間に自ら犯されにに行くのだ。
新入生達も半数は自ら岩間に犯されに行く訳だが、犯されていない生徒は格好の標的である。
最底辺に置かれた新入生達は先輩やら先に犯された新入生達の餌食になり、その辛さから岩間に救いを求めて犯されに行く訳だ。
部活を辞める事なんて出来ない。
そんな事すれば部員達からリンチされるのだ。
故に二月もすれば新入生全員岩間に犯される訳だ。
奈緒美もそうやって岩間に初めてを奪われた訳だ。

そこから奈緒美は岩間に気に入られた。
岩間は実力がそれなりでも身体を気に入れば優遇する傾向にあり、奈緒美も身体を気に入られたタイプだった。
勿論、陸上選手としての実力は部内でも上位だったが、岩間の優遇ぶりに部内から憎悪に近い嫉妬を浴びる立場になってしまった。

だが、嫉妬されようと奈緒美の扱いは岩間の肉便器にしか過ぎない。
授業や練習そっちのけで岩間の相手をさせられ、部員からは憎まれる。
奈緒美の高校生活は地獄みたいなものだった。
そして2年生になろうかと言う頃・・・
奈緒美は妊娠した。

過去に岩間の肉便器になって妊娠した女子生徒はかなりの数がいたらしい。
それは全て学校の力で揉み消されて、女子生徒は不純異性交友の罪を着せられ退学させられていた。
学校だけでなくそんな女子を蹴落としたい部員からもでっち上げられた証拠が出されて、皆追い詰められて退学し泣き寝入りするしかないと言う。

そして退学した女子は子供を産んで風俗で働き、岩間の肉便器になりつつ金を貢がされる存在になってしまうのだ。
そんな女子が十数人いて、奈緒美もそんな立場になってしまった訳だ。

奈緒美もお腹が大きくなっていき、いよいよ退学させられる事になる。
しかしその直前に校長が辞任。
数々の校長の不正が明るみに出る中、画像や音声データを持って奈緒美が新執行部に駆け込んで全てが発覚。

奈緒美が孕まされていただけに事態は大きくなり、岩間が未成年に対する淫行や強姦、部内の暴力等で刑事事件になるまでになったのだ。
無論訴えた奈緒美の名前は世間的に出なかったのだが、妊娠した彼女が学校生活を続けるのは無理だった。
結局、退学して出産。
陸上選手としての夢も絶たれた。
自暴自棄になりながらも子供を育てていかないといけない奈緒美に学園新執行部もどうにか救いの手を差し伸べようとしたのだ。

それがとある桃陽学園出身のアスリートの家政婦だった。
そのアスリートこそ前川悠平。
彼は当時30歳を前にして、競技生活の終わりを迎えようとしていた。
だが、オリンピックの選考を控えて生活をサポートする人間を必要としていた。
そこで奈緒美の働き口として前川に紹介した訳だが、これが互いの運命を変える事になったのである。

最初は唯の家政婦だったが、いつしか信頼関係が出来て、それが愛情に・・・
そして子供ごと受け入れる前川がプロポーズして結婚。
その結婚と同じくして前川は競技生活を終えたのだ。

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