朝、目が覚めると……… 80
あぁそうだ、丸薬、丸薬を飲まないと
「ところでご主人様、ご主人様の骨はもう見付かったのですか?」
そういえばあの白い箱、アレを見たら急に変な感覚に襲われた。
あの中に骨壺が入ってたのか
「あぁ、見付かったよ、ほら、今、真由が持ってる箱が・・・」
ふとメイを見るとなぜか赤い顔をして真由を見ている。
目がハートに見えるけど・・・
「・・・メイ?」
急にハッとするメイ
「な、何でもありません〜、よ、良かったですね〜」
変な子だなぁと思いつつ俺は丸薬を飲もうとする。
こんな可愛い子なら1回ぐらい・・・
いかん、いかん、なにを考えてるんだ俺は・・・
そんな俺の気持ちを知ってか知らずかメイは俺に言ってきた。
「ご主人様ってもてるんですね〜、たくさんの女の子に囲まれてうらやましいですぅ」
え、女の子にもててうらやましい?どういう意味だ?
「でも気を付けて下さいね、みんな平等に愛してあげないと喧嘩になっちゃいますからね」
「あ、あぁ、そうだね」
俺は返事をしながら別のことを考えていた。
女の子にもててうらやましい・・・はて?
しどろもどろになっている俺にメイは口元に手をやって笑っている。
「ふふっ・・・いいんですよ、ご主人さま。フレイ姉さんに聞いたでしょ?
貴方様は霊体が具現化した存在なんですからね。ただ、無理はいけませんよ。」
「あはは・・・。」
なるほど、そういう事か。
と。こうのんびりもしてられない。真由、特に梓が心配しているだろう。上手く説明しておいてくれたらいいのだが・・・。
俺は思い出したようにトランクを開き、丸薬を取り出し、口に入れる。
これでまた実体に戻れる訳だ。面倒だが、骨壷が見つかれば、こんな苦労も少なくなるだろう。
『では、いってらっしゃいませ、ご主人様♪』
ぺこりとお辞儀し、笑顔で俺を送るメイに、俺も笑顔で応え軽く手を振った。
・・・今度メイドカフェ行ってみようかな。などと罰当たりな事を考えつつ、俺は実体へと戻って行った。
「わぁ〜!みーくーん!!よかった〜〜!!」
実体化した後、最初に俺の目に飛び込んで来たのは、梓の笑顔。満面な笑みで俺を迎えてくれたのだ。
「梓、それに真由、心配かけたな。もう大丈夫だ。」
「ふぇ〜ん、みーくん。あずさ、心配してたんだからぁ。」
梓が俺に抱きついてくる。そうか、そんなに俺の事を心配していたのか。うんうんと頷きながら、俺は梓の頭を撫でてやった。
「よかった。本当に帝さんが戻ってくれて。」
真由も目元を涙で濡らしながら、笑顔を向けている。