今日からキミを『管理』します。 8
“幸成”から“君”にまた呼び名が代わったことに、なんだか寂しく思ってしまう…
親しく名前で呼び合えるのは、ヤッてる時だけってことなのか…?
この男子寮の中で、僕と同じように童貞を卒業した男子たちも、今はきっとやりきれない思いを抱いているに違いないよな…
幸成は、もやもやしながらも、シャワー室に行くため股間をティッシュで拭いてもう一度寝間着をきちんと着た。
真樹はそれより早くパンティーを穿くと「じゃあまた」と言って部屋から出ていった。
説明された道を思い出しながら、また真樹とのことを思い出しながら、幸成はシャワー室に向かった。
階段への角を曲がると、彼は人の気配を感じたが、それはぶつかるのを避けるのに間に合わなかった。
「きゃ!」
タオルだけ巻いた女子が、ぶつかった拍子にタオルをはだけてその場に尻もちをついた。
「あ、ごめんなさい」
「こちらこそごめんなさい、びっくりさせて」
その女子はタオルを巻き直した。
幸成の頭はショートしそうになっていた。さっきの経験でも真樹の通常見えないところは一切見えなかった。
その余韻も冷めやらぬうちに、一糸まとわぬ女子が、目に飛び込んだのだ。
「あ、あの、ここ、男子寮、ですよね」
幸成はいろいろな言葉があふれそうになっているがまずはそう言った。
「ごめん、ここ新しくてきれいだし、女子寮のお風呂混んでるし、ここのシャワー室個室だからけっこう女子も使わしてもらってるんだ」
そ、そういうことか…
納得しながらも、こんな格好で男子寮まで来た、この女子に呆れてしまう…
普通、パンツぐらいは剥いて来るだろぉ;…
「男子寮には昨日から僕たち男子が入居してきているからさ…今までみたいにはいかないんじゃないか?…」
「うーん、そうなんだけど、女子寮のクセが抜けなくてね…それにここの男子は股間完全管理されてるから安全なんでしょ…あ、でも、鼻、大丈夫?」
「鼻?」
幸成は自らの鼻に軽く手を触れた。
血だ。
「やっぱり興奮しちゃった?」
「あっ;いや;…こう状況には慣れてなくてさ;…」
柔んわりと肯定する…
まあ、僕にも女の兄妹でもいたら、こういう場面に遭遇することもあったのかもしれないが、生憎僕には男の兄弟しかいない…
「ふふっ、キミって青山くんでしょ?…生徒会長さんにいっぱい出しては貰えなかったのかしらぁ…?」