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就寝名簿
官能リレー小説 - 学園物

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就寝名簿 1

「就寝名簿!」

 うちの学校で、就寝名簿が始まるという。

 未来、性病は克服され、妊娠は完全にコントロールできるようになって、セックスは、ただ男女が互いに気持ちよくなるために気軽に行われるようになっていた。

 とはいえ、皆イケメンやかわいい子としたいので、そうでない人は、彼らに比べて格差がある。

 こんにち、子供を家庭で育てる、という習慣も薄れているので、僕たち生徒は学校の寮に住んでいる。

 寮では男女混合の2から4人部屋に住む。
 全然知り合いがいなければ、最初に同室の異性とやったりもするのだか、好みの異性と仲良くなったらそっちに行ってしまい、自らセックスの相手を探せない人は取り残される。
 この時代は「自由な性行為」が基本だから。

 しかし「平等な性行為」を唱える少数派もいる。
 去年、僕たちの市で、そのようなグループが推す市長が当選したのだ。

 そして、僕たちの学校に「就寝名簿」すなわち、名簿に載った男子と女子が必ず一緒に寝なければならない、という制度が、始まることになったのだ!
 
 
 この物語は、歴史オタクの僕が、なるべくこれを読んでいる読者の時代の目線に立って、この「就寝名簿」により起こった話を説明していくものである。
 僕たちが使っている言葉は、読者の時代のものとは、少し違うところもあるので、だいたい、読者の時代くらいの言葉に自動変換している。


「…市長の方針により、一週間後から、就寝名簿がスタートします」

 体育館に集められた僕たちは、教務主任のおばさんの説明を聞いていた。
 就寝名簿をやること自体は、ネットのニュースなどですでに流れていたので、それほど驚きは無い、が、生活が変わることだ。皆、おしゃべりもせず、真剣に聞いている。
 
「名簿は、その日の夕方6時に発表されます。その日の10時には、名簿で指定された部屋に、必ず行ってください」

 そして、名簿発表方法などの詳細が説明された。

「ここまでで、何か質問はありますか?」

「高島先生、質問です」

 僕のいる列の前の方で手が挙がった。
 今説明している教務主任のおばさんは、高島さつき先生という。

「どうぞ」
「あの、名簿で指定されたら、かならずセックスしなくてはならないのでしょうか?女子は、生理のときもありますし、男子も、勃たないことも、あるでしょう」

 この時代、別にセックスという言葉で口ごもることもない。

 質問したのは、同じクラスの、原田妙子、という、優等生だ。
 一回原田さんとやってみたい、とは思っても、なかなか近づきがたい。

「『就寝』名簿です。一緒に寝ることが求められるだけで、お互いに合意すれば、セックスは必須ではありません。また、どちらかがセックスを求めて、他方ができない場合は、何らかの、代わりの行為を、やってもらいます」

「先生」

 右前の方から手が挙がった。男の先輩で、確か、船井俊彦先輩といった。イケメンで、毎晩2、3人の女子とセックスするという。

「自分でセックスしたい人と、セックスしてはいけないんですか?」
「そんなことはありません。昼間とか、午後10時より前には、やるのは自由です」

 その先にも、説明や、質疑応答が続いた。

「市長も、この制度を、改善しながら維持したい、と言っています。不都合とか、あったら、フロアの寮風紀委員に言ってください。この制度は、寮風紀委員を中心に、運用してもらいます」

 …就寝名簿。話すことすらできなかった女子と、できるかもしれない…と最初一瞬は、思った。
 でも、何か、そう単純なものでもなさそうだ。
 何より、さっき「男子が勃たないとき…」のような話を待つまでもなく、勃たないような女子が名簿で割り当たった時には、どうしたらいいのだろう…

 僕は部屋に帰って、ベッドに横になっていた。他のルームメイトは今はいなかった。

 ドンドン…
 扉がたたかれた。
「どうぞ」
 言うか言わないかのうちに扉が開いた。
 そこには、このフロアの寮風紀委員、石田美和が立っていた。
 お硬い雰囲気だが、きれい系の女子である。
「君、前回いつセックスした?」
「え…?!」
「おおかた、4月以来やってないんじゃない?」

 図星だ。
 4月には、新入生が部屋に来たり、いろいろ行事があったりして、僕のような生徒にもやる機会はある。

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