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香港国際学園
官能リレー小説 - 学園物

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香港国際学園 80

一方、才英と誠一達はとある人物と裏山で会っていた。
その人物の名は円城寺朔美・・・総務委員長である。
誠一と朔美は親友同士だから会ってもおかしくないのだが、立場がややこしいせいで最近話す機会がなかった。
無論、そんな事を知らない才英達は敵意の篭った視線で朔美を見ている。
「公主様が学校を3日ほど空けられるの・・・その間、生徒会は副会長の如月恭介が預かる事になってるわ」
「何かあるのか?」
朔美は誠一の問いに少し笑みを浮かべながら答えた。
「恭介先輩を筆頭とするロイヤルガードはいま不満が相当溜まってるの・・・質、量共に圧倒的に勝ってるのに公主様から革命派撃退の命が下らないから」
誠一は実際目にして知っているが、主姫にのみ忠誠を捧げるロイヤルガードの戦闘力は半端ではない。
30人足らずのロイヤルガードの戦闘力は、実際にそれだけで革命派を完膚なきまで叩きのめせるだろうし、恭介を含む筆頭5人・・・通称『五虎将軍』はやなくや刀機に勝るとも劣らない能力を有している。
朔美も高いレベルの能力者で主姫の片腕だが、ロイヤルガードの中では真ん中あたりにしかならない。

「会長が不在の時は副会長が会長職を代行できるの・・・そうなれば恭介先輩の考える事は・・・公主様に逆らう者の殲滅だと思うわ・・・だから悪い事言わないから、3日程隠れてなさい」
肩を竦める朔美・・・朔美を含め生徒会役員や執行部は全員主姫に忠誠を誓っている。
いやむしろ主姫の為だけに存在する奴隷であり、主姫が死ねと言えば死ぬし、股を開けと言われればどんな場所でも応じるのだ。
それでも朔美はこの流れを良くは思っていないようだ。
「朔ちゃん・・・」
そこに少年が現れ、か細い声で朔美に話しかける。
この少年も生徒会役員のようだが、オドオドとした小動物のような少年である。
この少年は黒海 暗路(こうみ あんじ)、誠一と同い年で親友、身長も同じぐらい。
誠一が思わず抱きしめたくなる可愛さなら、暗路は思わず苛めたくなるような可愛さ・・・どちらもショタ好きのお姉様がみれば押し倒してしまいかねない萌えキャラである。
「今、暗路から報告があったわ・・・会長代行の命で『叛乱分子の殲滅、その際の叛乱分子の扱いは各自に任せる』だって・・・これじゃあ生徒会非道三羽烏や仁科藍、佐藤ケイあたりは喜んで狩りをするでしょうね・・・早い所隠れた方がいいわよ」

「身を隠すったって…」
学園内で生徒会の目の届かない所はない。
「目が届かない所は無くとも手の届かない場所があるだろう?」
「やなく達の部屋か…」
「やなく達を襲う事は公主もしないこと、なぜならやなくを怒らせる事は直接『死』につながるからよ」
朔美が少し目を細め呟いた。
「本当かなぁ……」
しかし普段のんべんだらりとしている姿を知っている誠一達には全く想像できない。
「お前達知らないのか?単純に攻撃力だけを見た場合やなくは公主よりも上なんだぞ?」
まさか知らないのか!?、といった感じに声を荒げた。
実際、やなく、刀機、恭介の3人の能力はまったく互角で、単純戦闘力では主姫すら凌ぐ。
ただ、単純な戦闘力が主姫に通じないのは理人の時見た通りで、やなく、刀機、恭介の3人でも、主姫を本気で怒らせたら3人がかりでも勝てない。
野心の有無は別として、『学園最強』と言う存在は生徒会長・・・すなわち主姫であり、主姫と言う重しが、能力者達に微妙なバランスを与えていたのだ。
しかし、主姫のいない今、バランスは崩壊を始め、ロイヤルガードの暴走が始まってる。
特にロイヤルガードの筆頭『五虎将軍』を止めれるのは、やなく、刀機のみで、しかも1対1ならと言う条件付だ。
誠一の心配している点はその辺り、ロイヤルガードを中心とする生徒会は、大半が主姫の崇拝者である。
一種の宗教と言っていい集団・・・狂信者達だから、やなく、刀機も足元を掬われないかと言う事。
彼等の暴走は、誠一にそんな不安を抱かせたのだ。

「仕方ない・・・戦うか・・・一応、主人公だし・・・」
溜息と共に誠一の口から出た言葉に朔美や才英は驚く。
「無謀すぎるわ!・・・いくらなんでも・・・」
朔美が止めるが、誠一は虚空を見つめ何か呟く。
「御館様・・・お呼びで御座いましょうか・・・」
すっと、数人の男が気配も感じさせず現れる。
その男達は全員黒い山伏姿、そして黒い嘴の付いた面を着けていたのだ。
「奈々子、恵理子、それと才英君の隣の女の子を匿ってやってくれ・・・それから『アレ』用意しろ」
普段絶対使わない命令口調で男達に命じる誠一。なにかしら威厳を感じる姿は、身内を除いて見た事が無い姿だった。
「鈴木君って・・・何者なの?」
「怪しい者さ・・・」
呆然とする才英に笑って茶化しながら誠一は男達に指示をする。
「それから、『大烏』に生徒会と戦えと・・・能力は開放する事を許すと伝えよ・・・行けっ!」
男達は頷くと、かき消すようにいなくなったのだ。

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