「…この、色魔がっ！」
（この状況じゃ何もしなけりゃ、強制イベントで犯られる！何か手を打たなきゃ…悠里と眞澄がいれば……）
─────貴様はあのコートの女とジャージの女がいなければ何もできんのか？
刀機の言葉がよぎる。
─────だがな…お前とて運命を切り開く力がない訳ではあるまい？あの二人には、戦うお前の背中について行こうという決心があるのだ。
マジかマ○コががばがばじゃねーか
これじゃあイケねえだろ
「………桃ちゃん」
「なぁに？もうどっちか決まったの？早いわね〜、流石私の子」
「……自分の事は自分で決めるよ、あの二人だって俺と付き合いたいと思ってないし…それに…」
「それに…？」
「嘘付いたでしょ、俺、嘘付かれるのは大嫌いなんだよね（付くのは大好きだけど）」
そう言って才英はニヤリと笑う。
不敵に笑う。
「弱い奴ってのは分かるんだよね。そういうの。超能力みたいなもんかな？」
英桃は一瞬、唖然としたが、その直後彼女はニヤリと笑う。
やはり、不敵に笑う。
「へぇ、やるじゃん。さすがは私の子」
「ってゆーか、誰でも分かるんじゃないかな？実際んとこ何しにきたの？心配で来たってことは無いでしょう？」
「当ててみてよ。分かるんでしょ？そーゆーの」
「ふむ」
と言って、才英は腕を組み考える。考える振りをする。質問は初めから決まっていた。
「俺を殺しに来たってとこかな？」「根拠は？」
動揺を全く顔に出さない。瞳にも変化はない。さすがは僕の親だな、と才英はそう思う。バカな奴は「なぜそれを！？」とか言うのだが。
「根拠はって聞いてるんだけど？」英桃はもう一度問うた。
「桃ちゃんが『根拠は？』なんて聞いてくるのが根拠ってのはどう？」英桃の瞳がピクリと動く。
決まったな。才英は思った。もちろんこの問いかけも鎌をかけただけだった。