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香港国際学園
官能リレー小説 - 学園物

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香港国際学園 112

「強いもなにも、こいつは能力も持たないのに、昔、公主と引き分けたことがあるからな。」
「ほ、本当に?」
「いえいえ、確かにあの時は引き分けでしたが、彼女は本気ではありませんでしたからね。あのまま戦ってたら、私はここにいないでしょう。」
才英の驚きの眼差しを受けながら、落ち着いた口調で幻柳は話す。
「でも、能力無しで良く戦えますね。」
「才英君、人間は能力等に頼らなくても、鍛えればいくらでも強くなれるんですよ。ところで、どうするんです?」
刹那の方に振り向く。
「ん〜、もいちょい考えさせてくれ。」
その夜…
「こんな所にいたのか…風邪ひくぞ刹那」
学園の屋上にやってきた銀城が夜風にあたっていた刹那に話し掛けた
「…どうしたエセ教師、人の顔を見て」
「いや、能力を封じ込めたらお前とどこか遠い所に行って静かに暮らしたいなと思ってな…」
そう言うと金網に寄りかかった
「どこか静かな所で…か」
生まれながらに命を狙われ異形の姿を恐れられ蔑まれ、鬼よ鬼畜よと言われ続けた男には考えもしなかったことだ
「小さいながらも幸せな家庭を作ってさ…」
幸せそうに理想を語る銀城を見て優しい笑みを浮かべた
「そうだな…そういう生き方もあるかもしれないな…」
「刹那…」
微笑み返そうとした時だった、銀城の胸に衝撃が走り鮮血が舞った
「…困るなぁ、僕の計画では刹那は封印を拒んで僕と晶の手柄になるはずなんだよね」
満月を後ろに誠二が鮮血滴る刀を手に佇んでいた
「ついでに『鬼神刀闇烏』も僕のものに…ね」
屈託のない笑みを浮かべる
「刹…那…」
霞んだ声で刹那を呼ぶ
「銀城!!」
血まみれの銀城を抱きかかえ名前を呼んだ
「初めて…名前で…呼んでくれたな…」
「しっかりしろ!!死ぬな!!」
今にも泣き出しそうな声と表情を浮かべ叫んだ
「ふふっ…そんな顔をするな…らしく…ない…ぞ…」
ふっと笑いそのまま目を閉じた
「銀…城…」
刹那の顔を一筋の涙がながれ血にまみれた銀城の上に落ちた
「ま、銀城先生については抵抗したからやもなく斬ったって兄ちゃんに報告するから安心しなよ」
その時刹那がふっと自嘲気味に笑った
本気で思った、愛する相手と共に歩む道、小さな、誰一人傷つけることのない幸せ、手の届く場所にあると思った
「カハハハハハッ!!」
『昔』のような笑いかたで大きな声で笑った
「…どうやら俺の進む道は『そっち』ではなかったらしい」
一瞬で漆黒の甲冑を纏うと銀城を抱え屋上から飛び降りた
そして才英の部屋に飛び込んだ
「銀城を…頼む…」
驚いている才英に銀城を託した
「今より俺は『鳳』でも『傭兵』でもない…鬼と呼ばれた一族『服部』が最後の頭首『服部刹那』だ」
一言そう言うと夜の闇に消えた

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