学園の牝 113
しかし他の専用奴隷たちは、なんと声をかければいいのかわからず、大いに戸惑う。
そんな情けない奴隷たちに浩二は一喝する。
「・・・おい、おまえら!
間違ってもこのことを他人にしゃべったりするんじゃねーぞ!?
あとそのうざったい視線を送るのやめろ!
オレはそーゆー目で見られんのが1番大ッ嫌いなんだよッ!」
「ご、ゴメンっ!?」
「「す、すみませんでしたっ!」」
主人の機嫌を損ねた奴隷たちは反射的に浩二に謝る。
しかしその態度にますます浩二は機嫌を悪くする一方だ。
その様子に明日香と茜は苦笑しながらフォローに入る。
「浩二さま、あまり湊たちを脅かさないでください。
みんな、知らず知らずのうちに立ち入ったことを聞いてしまったと反省してるんですから」
「そうですよぉ?私たちの知っている浩二さまなら、そんなことにいちいちこだわらないと思うんだけどなぁ〜?」
天上天下唯我独尊。我が道をどこまでも突き進む男。
それが鷹栖浩二。
確かに今は不能という山にひっかかっているものの、過去の記憶なんかに振り回されるような男ではない。
それともそんなことにこだわる器の小さい男だったの?
遠回しにそんなことを聞かれては浩二も怒りを静めるほかない。
不機嫌そうにそっぽを向いてしまった。
その様子に安心した明日香と茜は仲間のみんなにフォローを入れる。
「ダメですよ、みなさん。
主人の浩二様に対して憐憫や同情をするなんて。
仮にも浩二様の専用奴隷を名乗らせていただいているのなら、もっとご主人様のことを理解しなさい!」
「そうそう。浩二様、あれで意外と不器用で照れ屋なんだから。
浩二様を困らせるようなことしちゃダメだよ〜?」
「い・・・いや、でもまさかこんなディープな話になるとは思わなくて・・・」
古参組の言葉に、琴が言いにくそうに話す。
まぁ、興味本位でこれほど深い話をされたら、だれでもこういう態度になってしまうだろう。
(ったく、辛気臭い顔をしやがって・・・。
・・・そういやあの時の明日香や茜も事件があってからはあんな顔ばっかりしてたよな・・・)
浩二はそんなことを思いながら、当時のことを思い返した。
――――――――
あの頃の明日香や茜、クラスのみんなは浩二を腫れ物のように扱っていた。
それは単に浩二の豹変振りについていけなかっただけではない。
あの事件で誰一人動けなかった中、唯一犯人に何度も立ち向かっていった彼に何もできなかったことへの後悔と罪悪感が、クラスの連中との間に距離を作ってしまっていた。
特に専用奴隷となった明日香や仲のよかった茜は、オレを立ち直らせようと必死になっていた。