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享楽の街
官能リレー小説 - アブノーマル

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享楽の街 2

俺はスネークに尋ねる。
「…それでテメェらは兄と弟、どっちサイドの人間なんだ?」
「あっしは首領(ドン)のご嫡男であるゴサム・デイビスさん…つまり正当なドンの後継者の配下の者でさぁ」
ゴサム・デイビスは愚鈍で小心者だと聞いている。一方、弟バラム・デイビスは豪胆でリーダーの器らしい。正当な後継者である無能な長男と、それを不服に思い反旗を翻す優秀な次男…古今東西、国でも企業でも犯罪組織でも良くある図式だと俺は思ったが、それは口に出さないでおいた。スネークは続ける。
「バラムの勢力は兵力はほぼ同数なんですが、火力において我々にかなり劣っていやした。そこでヤツラは何と国軍から武器弾薬を不法に払い下げてもらおうと考えたんでさぁ!」
「そんなバカな!いくら腐っても一国の軍隊が犯罪組織に武器を横流しするなんて……いや、ウチの国の軍なら有り得るかも…」
この国が成立して丁度3年になる。
軍事政権として長年独裁がつづいていたが、現在の国を成立させたレジスタンスにデイビス一家が加担したことで一気に政権の奪取は成功した。
 コミュニティの経済的な援助がその大半をしめてはいるのだが、バラム・デイビス自身、覇権を狙い積極的な活動をしていたことはこの国ではだれでも知っているところだった。
 2丁の拳銃を駆使し、大胆にも前政権の要人を屠っていった彼を旧政権の誰もが畏怖した。
 いつしか彼の元に忠実なる美少女兵士たちが集うようになった。
 彼が抑圧した男尊女卑政権の打倒を宣言したことが彼女たちの抑圧された心に伊吹を吹き込んだことは想像に難くない。

「ということはだ」
俺はタバコくさい御大層な車の中で口を開いた。
「バラムは旧政府と新政府の両方を敵に回したということか。」
俺は相手の反応を見る。依頼人は笑顔を作っているが明らかに狼狽をしている
「ですから私たちは長男のほうすよ。」
依頼人は訂正をした。
「あんな大きな兵器を使って、仕損じるのはあんたの長男ぐらいのもんだぜ。まず第一に依頼に応じるかどうかもわからない無頼人にしては大げさすぎる。バラムの野郎なら直接長男をやるために使うだろうし、余分な犠牲者は出さないさ。もっともあの男は自分で2丁の拳銃ぶら下げてくるだろうぜ。第1種特別機動隊の俺を相手にするのならな。」

「さすがは元1種隊の隊員といったところでしょうね。前政権時代、レジスタンスと対等に渡り合えたのは1種隊のみという話は聞いていますよ。」
 冷静な目の前の男を見て俺は考える。
(依頼人は演出がばれたとしても逆上しない。あの長男の手下としてはまだ使える部類か?)
「どうして長男は俺なんかを必要とするんだ?」

「カリスマすぎるんですよあの男は。」
男は続けた
「本当は数年ぐらい続くはずの内戦を10日で終えてしまった。戦乱によりこの国の資源、技術、人材すべてを略奪する手はずがあの男のためにすべて狂わされた。新政府の連中も自分たちより人気の高いあの男に政権を取られることを恐れているのさ。」
 


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