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馬野
官能リレー小説 - 寝とり/寝取られ

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馬野 31

「ちゃんと飲めたみたいだね。嬉しいなぁ。」
自分は咲子が淹れた珈琲を飲みながら、口を開けた咲子の粘ついた口内を見る。
「んあ…あんまり、美味しくなかったです。」
「ははは、それを飲んでくれたって思うと、愛を感じちゃうよね。」
それを聞いて、恥ずかしそうに口直しの珈琲を飲む。遊ばれていると解りながらも、咲子は馬野に不思議な魅力を感じていた。

「どこまで話したっけ?」
「大学を卒業するまで、ですよ。」
寝転んだ馬野の隣で布団を引っ張って寄り添う。
「あぁ、そうだそうだ。」
本能のままに生きる馬野が会社勤めになると、自慢の種蒔きは極端に減った。新しい出会いが少なくなったとか。
「それでも、上司ウケは良かったし後輩に慕われたりして、その奥さんや彼女を寝取ってたんだけどね。」
自分に近い人間であっても、馬野には関係ない。自分の子孫を育てて貰うための存在として、馬野は親しくしていた。
「自分が孕ませた部下の結婚式に出席した事も何度かあったね。」
あれは興奮したな〜と染々に語る。
雄として子孫を残す事だけを考えているから、罪悪感を感じる訳が無い、とまで言う。
その他は、興奮材料の何物でもない。
「これから新郎と永遠の愛を誓う花嫁のお腹に、自分の遺伝子を受け継いだ不義の子が宿っているなんて、最高だと思わない?新郎の両親にさえも、私の血が跡取りになるかもしれないんだぞ、ってね。」
そう言って、馬野は咲子のお腹を触った。まるで、お互いの遺伝子が交じり合う事を楽しみにしているかのように。
全ては自身の欲求を満たすためだけ。そのためなら、誰がどうなろうと関係無い。
最低最悪な男でしょ。と、馬野は笑った。
そして、十年前のある日。馬野は男と出会った。
詳しくは言えないが、その老人は事故で首から下が動かなかった。
「まさに、運命的な出会いだったね。」
有り余る富を持ったその男は、馬野を一目見て気に入ったらしい。そして、勤めていた会社を突然解雇された。
「さすがにびっくりしたね。神妙な顔の上司に呼び出されてさ。ついにバレたかって。あ、その上司の奥さん、30半ばから立て続けに三人作って産ませて、四人目を仕込んでる最中だったから。」
「呆れた。」
感覚の麻痺してきた咲子が、笑いながら言う。
で、クビ。いきなり路頭に迷った馬野だったが、その気になればヒモになってやる。と、タカをくくっていたらしい。
「とりあえず自由な時間が増えたもんだから、貯蓄が無くなるまでフラフラしてたよ。そしたら、人生で初めて逆ナンパされてね。セレブそうな若くて綺麗な奥様に。」
大喜びでついていくと、使用人が何人も居る豪邸に案内されて、馬野は失敗したと思った。そこまでいけば、何か裏があると馬鹿でも気付く。
「でも、寝室に案内されてヤル事はヤッたよ。奥様は戸惑ってたから、連れてくるだけって言われてたんだろうなぁ。まぁ、こっちは関係ないから半ば強引に抱いて中出ししまくった。どうなるにせよ、この奥様だけは絶対に妊娠させるってつもりで。」
深夜、奥様と寝ている時に、忍び込んで来たメイドに起こされた。
薄暗い廊下を歩いて案内された先で、例の老人が椅子に腰掛けていた。
「妻の抱き心地はどうだった?」
そう聞かれた馬野は、正直に感想を言った。すると、老人は笑って問い掛けた。
「その歳で、夢はあるかな?」
馬野の答えを聞いて、老人は大いに喜んだ。そして、あらゆる面で援助させて欲しいと。
訳が解らない馬野だったが、金を持て余した老人の道楽だろうと思う事にした。
「条件として、妻に定期的に会ってやってくれたまえ。私は見ての通りだから。」
そう言って、先程の美しいメイドを呼ぶ。老人を車椅子に乗せると、後ろからゆっくりと押して部屋から出て行こうとする。そこで、老人は振り返らずに告げた。
「彼女も既婚だよ。口説けたなら、好きにするといい。」
メイドは感情を見せずにチラリと馬野を見て、車椅子を押して出て行った。
「第一回、メイドさんベビーブームの到来だったね。同時期にほとんど妊娠させたもんだから、奥様に注意されたよ。奥様のお腹も大きくなってたけどね。」
その頃は、豪邸の一室を借りて住み込んでいたらしい。毎日がセックス漬けで、金玉から精子が出なくなるまで励んだのは、この時だけとか。
「例の老人は喜んでいたよ。自分に忠実な人間は、見ていて気分がいい。ってね。」
奥様が産んだ子は、その老人の跡取りって形で育てられている。今年で九歳になった。
老人は、本当の孫のように可愛がっている。
「ま、息子の成長を見守るよりも、息子の兄弟姉妹を増やす方が私の楽しみだからね。父親の自覚なんて、あって無いようなもんだよ。」
働く必要の無くなった馬野は、全ての時間を寝取りと孕ませに費やす事が出来るようになった。
「昼間に電話していた人は、さっき話した老人の身の回りの世話をしているメイドさんだよ。京子さんって言うんだけどね。」
彼女が、馬野のオペレーターになっている。現金が必要になればすぐに用意して、問題が発生しても解決に動いてくれる。
「それで始めたのが、あのサイト。」
もちろん、依頼なんて滅多に来ないが、旦那や彼氏公認でセックス出来るため重宝しているらしい。
「寝取られの究極は妊娠、なんて言うけど、それは弱い雄の捨て身の抗いだよね。種を残す権利を放棄して、彼女や妻をその事実で縛り付けようとするんだから。」
自分は違う、と馬野は笑って、煙草に手を伸ばした。

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