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馬野
官能リレー小説 - 寝とり/寝取られ

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馬野 1

俺は、今日、ある男に会う事になっている。男の名前は、馬野太一郎だ。
あれは、一月前の事だった。
『貴方のパートナー、寝取ります。』
そう大きく表示されたホームページを発見した時、まず思った事は『馬鹿馬鹿しい』だ。
俺には、婚約者がいる。佐藤梨絵、俺が働く会社で事務職をしている23歳。整った顔立ちに、凛とした雰囲気も漂わせて、意思の強さと清楚な雰囲気を持ち合わせた自慢の彼女だ。言葉使いが少々乱暴な時もあるが、そのギャップもたまらない。
彼女は、男性経験が無かった。プロポーズをした夜に、やっと彼女と結ばれた程のお堅い性格ってやつだ。貞操観念もしっかりとした、今時には珍しい子だろう。もちろん、浮気なんか想像もつかない。言い寄る男は沢山いるんだろうが、潔癖な彼女は全く相手にしていないと、彼女の友人が聞いてもいないのに報告してくれる。
ただ、そのホームページを見つけた日から、俺の中で悪い妄想が始まった。
梨絵が、他の男と浮気をしたなら、俺は、どうするんだろうか。もちろん、許す事は難しいだろう。俺は、彼女を罵り、間男を殴る。二人に慰謝料を請求して別れるのか。それでも許して、再構築を頑張るのか。最初は、この程度だった。
しかし、一度始まった妄想は、際限なく膨らんでいく。
部屋を暗くして、布団の中でしか服を脱がない彼女が、明るい部屋で、他の男に自分の素肌を全て晒したりするのだろうか。俺には絶対にしないフェラを、他の男に仕込まれてしまうのだろうか。俺でさえ許された事が無い生は…、中出しは…、行き着くところは、妊娠なんて…
もちろん、これは妄想だ。彼女が浮気なんかする訳が無い。する訳が無いんだ。例え、どんな誘惑があったとしても、彼女は俺を絶対に裏切らない。
しかし、ふと、俺の心に魔が差した。
本当に裏切らないのか?
信じてる。いや、信じたい。
そして、俺は『彼女は裏切らなかった』という事実を求めてしまった。
待ち合わせの喫茶店に入って辺りを見渡すと、客は一人だけだった。スーツ姿の中年。頭は禿げ上がり、体格も小太りの普通の男だ。
「あ、原田さん?原田亮輔さん?」
男は、こちらに手を挙げて立ち上がった。話しやすそうな、人当たりの良さそうな雰囲気。そして、いかにも精力的な男。それが、最初の印象だった。
「馬野太一郎さんですよね?」
「えぇ、すみませんね、わざわざお呼びして。」
馬野太一郎と簡単な挨拶を済ませて、身分証を確認し合ってから、コーヒーのおかわりを頼んで本題に入った。
「それで、どうしましょうか?」
最初の、漠然とした質問に、亮輔は困った。自分の婚約者を口説いてくれ、なんて自分の口から言えたものじゃない。
「あー、いえね、ルールというか、決め事は細かく決めて置かないと。後から揉める事だけは避けたいですから。」
「は、はぁ…」
慣れた様子の馬野は、ノートPCを開いた。
「そうですね、最初に教えて頂きたいのは、彼女が、この話を知っているのかどうか、ですね。」
「は?」
知っている訳が無い。そんなの当たり前じゃないか。それが表情に出たのか、馬野は微笑んで続けた。
「意外にいるんですよ。彼女や奥様を愛しているからこそ、他の男に抱かせたい。抱かれているのを見てみたい。そういった男性も。」
馬野の話は、聞けば聞く程に、不思議な話だった。てっきり、彼女との関係に自信のある男や、好奇心から彼女を試してみたくて依頼をしたり、もしくは、別れさせ屋のように、彼氏や旦那側が別れるための口実を作るために依頼する。そんなものだと思っていた。事実、失敗した場合は、馬野から違約金まで支払われると言う。そして、彼は強調するようにハッキリと言った。
「私は、原田さんに協力する立場。つまり、原田さん側の人間です。」
なるほど、ただスケベ心で梨絵に言い寄る男とは違い、主導権は自分にある。と、言いたいのだろう。
事実、それは魔法の言葉のようだった。梨絵を騙す事に気が引けるのは変わらないが、確かに気持ちが和らいだ。それから、俺は、様々な話をした。この男の親しみ易さと聞き上手は、異常なくらいだ。馴れ初めから今に至るまで、梨絵の写真も交えて、一気に話した。
「はは、いっそ、これから飲みに行きますか?」
馬野の提案も、有難い物だった。居酒屋に場所を変えてからは、性生活の不満も話した。馬野は、それをPCに打ち込みながら、ビールを口に運ぶ。
しかし、打ち合わせですから飲み過ぎてはダメですよ。と、何度も言われた。
馬野は、次に会う時までに性病の検査と、決められた「ルール」を箇条書きにした書類をまとめて持ってくると言う。
「もちろん、私は梨絵さんを本気で落としにかかりますから。寝取られ趣味の人がいるように、私も寝取り趣味なんですよ。」
ビールを一口飲んで、彼はノートPCを閉じた。
「やっぱり、結構場数を踏んでるんですか?」
率直に聞くと、彼は酔いで赤らんだ顔を初めて緩ませた。
「まぁ、それなりに、ね。」
「聞かせて欲しいなぁ。正直、貴方みたいな普通のおじさんが…」
「はは、そうでしょ?まぁ、これでも面食いなんだけど、選り好みはしないようにしてるんだよね。」
既に、俺と馬野は普通の飲み友達のような感覚になっていた。それが、馬野の魅力かもしれない。
「なんか、凄い話とかありません?」
自分が寝取られ趣味とは思わない。が、他人の話となれば、興味はある。
「プライバシーもあるからね。そうだなぁ…。」
馬野は、ノートPCを開くと、一人の女性の画像を見せてきた。ベッドの上で、グラビアアイドルのようなプロポーションの美女が、ビキニ姿でポーズをとっている。
「この子、ナンパした時は彼氏持ちでね。」

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