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小屋敷ぐらし
官能リレー小説 - ラブコメ

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小屋敷ぐらし 1

 木々生い茂る、生命感に満ちたとある山奥。そこに小さな屋敷がある。
 そこには一人の少年が世の中から隠れるように暮らしていた。否、隠れていたのだ。

「秀康様、またこんなに散らかして」
「ふん……こんなところで独り住んでいなければならないのだ。この程度、気にするな」

 秀康の部屋にメイドが入ってきた。
 20畳ほどある彼の部屋は、物は少ないのにどこか捨て鉢になったような、雑然としたありさま。
 彼の読んでいた本や、トレーニング器具が乱雑に放り出されていた。
 長身を折り曲げて、散らかった部屋の片付けを始めるメイドを黙って見つめていた秀康は、不意にぽつりと口を開く。

「なあ奈緒」
「何でしょうか」
「俺は、いつまでこうして隠れていなくちゃいけないのかな……」
「……きっと、世に戻れる日が参りますよ」

 彼に向けた卵型の小顔に、優しい笑みを浮かべ答える。

「奈緒…」
その奈緒の顔をジッと見つめる秀康。唇を尖らせ、自分の顔を彼女の顔に近付けた。
「秀康様!」
奈緒は胸がドキッとなった。

(ピィーンポォーン)
秀康の唇が奈緒の唇に軽く触れた瞬間だった。インターホンのチャイムが鳴った。
「こんな所に…一体誰だ?」
「私、見て来ますね」
奈緒は部屋を出て、玄関へ向かって行った。

間もなく、奈緒が部屋に戻って来た。
「よお奈緒、誰だった?」
「秀康様、実は…」
奈緒はそう言ってから振り向いて、
「さあ。どうぞお入りください」
奈緒に促され、1人の少女が入って来た。
「ヒデくん、会いたかったよ」
彼女は秀康と同い年の幼馴染の結城真由美だった。

 彼女を見つめる秀康の顔には、驚愕が張り付いていた。

「真由……お前どうしてここに」
「だって……どうしても、ヒデくんが心配で……」

 真由美は柔らかい歩調で歩み寄る。
 目の前までやってきたかわいい幼馴染に、秀康はややぎこちなく頭を下げた。

「そうか……心配かけたな。ごめん。しかし俺に会いに来たら、真由だって身の置き所がなくなるだろう。お前はそれでもいいのか?」
「私…ヒデくんの妻になりたいもん。…ヒデくんだって、私を妻にするって言ったじゃない…」
「真由…」
秀康は嬉しくなり、真由美を思いっきり抱き締めた。
「わかった。今日からここで一緒に暮らそう」
「うん!」
真由美も秀康を抱き返した。

「ところで真由、そこに置いてあるリュックや鞄、パンパンに膨らんでるけど、中身は一体何だ?」
この屋敷に着いたとき、真由美は大きなリュックサックを背負い、手には大きな旅行用鞄を持っていた。いずれも中が満杯の様で、凄く膨らんでいた。
「うん、これはね…」
真由美はまず、鞄の中には、下着や着替えの服、洗面具、本や勉強道具などを入れてあることを説明した。
「で、そっちのリュックの方は…」
「これは、ヒデくんを元気づけてあげようと思って…」
真由美はリュックを開けると、中身をドンドン放り出した。それらは、学校の制服、スク水やビキニなどの数着の水着、新体操部のレオタード、学園祭で着たミニのメイド服、テニスウェアなどといった物であった。

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