人生をやり直すために必要なもの 18
美晴ちゃんが寝室に戻っていき、澪さんはちょっと冷めたココアを一口すする。
「みんな、苦労してるんだ」
「うん」
「遼平くんも、ね」
窓が風でカタカタと揺れる。
しばらく無言で時が流れる。
「ねぇ、遼平くん………さっきの続き、しない?」
「えっ」
僕が改めて澪さんを見ると、澪さんの顔はもう間近に迫っていた。そして僕たちは改めて唇をあわせた。
「美晴ちゃん寝られるように、静かにしよう」
唇が離れたあと、澪さんは小声で、口の前に指を一本立てる「静かに」の仕草をしながらそう言った。
僕も頷いてから、そっと澪さんを抱きしめる。
柔らかい体で、澪さんも抱き返してくる。それが温かいのは、体温と、心と、両方だろう。
それから、澪さんのパジャマの裾を持って、ゆっくりと引き上げる。
薄明かりに照らされて、ほっそりとしたおなかが、大き目なバストが、少しずつ姿を見せた。
澪さんは今度は自らパジャマのボタンを一つずつ外していった。
僕も、さっき慌てて着たシャツを脱いだ。
それと同時に、澪さんはボタンを外し終えたパジャマを取り去る。
次の瞬間、どちらからともなく、お互い、再び抱き締めあう。体温と体温が、改めて接する。
ほんとうに柔らかい体…
元子役だけに、澪さんの肌は綺麗で、触れ合うだけでも心地いい。
僕みたいなどこにでもいそうな男で、いいのだろうかと思ってしまう。
「遼平くん、あたたかいね」
「澪さんだって、柔らかくて、心までほぐれる気がする」
「そう言ってもらえると、嬉しいな」
澪さんがクスッと微笑む。つられて僕も微笑んでしまう。