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とある選手
官能リレー小説 - スポーツ

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とある選手 1

スタジアムの片隅にある大部屋に、男はいた。
大部屋の中に複数設置されたロッカーの内、一つの前に立っていた。
まるでローマの兵士のようなフェイスガードのついたヘルメットと、肩を中心に上半身を守るプロテクターを着用していた。
下半身には動きやすさを重視したスパッツ型のウェアとスパイクを着用しており、今すぐに試合に出場できそうな出で立ちである。
しかしその男は今から試合に出る選手ではない。
彼は選手のフリをしてスタジアムに潜り込み、とある人物を誘拐する任務を帯びていた。
「…よし」
準備を終えた男は小さく呟くと、ゆっくりと扉を開いた。
扉の向こうは通路になっており、薄暗い照明が灯っていた。
通路の奥からは微かに人の気配を感じる。
恐らくこの先に今回のターゲットがいるはずだ。
男は素早く通路へと身を滑らせると、音を立てないように慎重に歩を進める。
通路は一直線となっており、迷うことなく進むことが出来そうだ。しかしそれは隠れる場所がないという事でもある。
やがて一番奥の部屋の前に差し掛かったところで、中から声が聞こえてきた。
(…?)
男は何やら違和感を覚えた。だがそれが何かまでは分からない。
とりあえず部屋の前まで来た以上、確認だけはしておかなければならない。
男は壁に張り付くようにして耳を当てると、中の会話を聞き取ろうとした。
(…何だ?何を言っているんだ)
中の声は全く聞き取ることが出来ない。
言葉のようなものを発している事は分かるのだが、その意味を理解することは出来なかった。
その男、イーヴァインは困惑していた。
事前に得ていた情報ではこの部屋にいる人物は二人だけのはずなのだ。
なのに何故か大勢の人間がいるように感じるのだ。しかもその人間達は意味不明な言葉を発している。

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