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邪宗ふたなり教
官能リレー小説 - 性転換/フタナリ

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邪宗ふたなり教 21

「鈴木、どうだ例の件」
「先方は承諾してくれました」
彼は和弘の隣に座るなりに話し始めた。
「それにしてもこんな息子さんが居るとは思いもしなかったですよ」
「ディスクに飾ってある写真は古いからな……勘違いしやすいか」
「あの鈴木さん、三沢自動車ってどんな企業ですか?」
「個人の独断と偏見になるけどいいのか?」
「かまいません」
その後昼食をとりつつも三人の会話が続いた。


課長とその息子さんと分かれた後、鈴木は個人の携帯を取り出してメールを送信する。
「あれが雫様の彼氏か……なるほど」
よい青年だ、自分の数年前と同じ感じだ。
「(課長との不倫を御膳立てする以上は彼の動きを把握しておかないとな)」
彼もまたキョウコ様から指令を受けた信者でもある。


季節は冬になりクリスマスソングが流れる頃、母親が事件以来に帰宅した。捜査は難航していたが山狩りの際に発見された男性他殺遺体の身元はかつて和子が仕事を依頼した事がある探偵と判明した程度だ。
「帰宅ですか?」
「いえ、クリスマスが済んだら実家に戻るつもりです」
夫は車椅子に座る和子を見ると痛々しく感じるが榊嶋は普通に接する。
「探偵の事は分からないのですね?」
「はい、お恥ずかしは無しですが……」
和子の実家は地元は愚か県下でも由緒正しき旧家の由来を持つ家柄であるが関家もその一つである、なので探偵は身近な存在だ。ただ自分の父親は国政には無関心で県市議をしていた祖父が死んだ時には当時の秘書に看板と地盤を譲り彼はサラリーマンとして全うし、自分もそのつもりであるので探偵なんて縁が無い。
「もしかすると理事長の弱みを握ろうとしたかもしれませんね、上の子が小学校の時にも学年主任の教員の身辺探らせた位ですから」
「いいのですか?本人の目の前で」
「いいのですよ……何れはこうなる事は覚悟はしてました。家の中を探してみたのですが報告書の類は見つかりませんでした。ノートパソコンに取りこんでいると思います」
「そのようですね、和子さんの持ち物を全ては把握してない、それは不思議ではありません。私のカミさんも自分が知らないモノを持ってますからねぇ」
「ご迷惑をおかけします」
「いえいえ、ではよいクリスマスを」
榊嶋は会釈してその場を去った。
部下の一人が声をかける。
「どうですか?」
「あの分だと実家でも本当に出てこなかったんでしょうね……彼女はPTA役員を勤めてますから機密文書の処分も徹底していたようです。近頃は段ボールに入れてその場で紙パルクにしてくれる業者が人気だそうですよ」
「うぁ……ディスク系は?」
「それも粉砕するそうです」
部下は自販機で購入したペットボトルの紅茶を渡す。
「多分、ノートPCはもう復元不可能なレベルで処分されたと思った方がいいかもしれません」
「犯人はそこまでするのは」
「推測ですが彼女は脅迫者から手紙の類まで持ち出す事を言われた、そこまでする脅しのネタがあるとしたら……」
「男ですかねぇ?」
部下の言葉に榊嶋は頷く。PTAに関する不正はする程和子自身の経済的な余裕の無さも子供の学力の無さも見当たらない……だとすると男と言う事になる。



和子は何も喋らなかったが和弘にとってはホッとしていた。色々と干渉して肩身を狭い思いをした義務教育時代を思うと今の母親の方がいいのだ。
「今日はいいのか?」
「済ませて来た、何時も通り孤児院でのボランティアを兼ねてのデートだよ」
「まだ高校生だからなぁ……う〜〜む」
「親父、俺は今のままで十分だよ。そりゃあお袋があんな事になったけど、最悪の事態になるよりはマシだよ」
廊下を出て会話を交わすが何処か不毛な気がする。
「伯父さんの支持者に何言われるやら……はぁ」
「義兄さんも苦労しているさ、もしかすると今度の選挙は難しいかもしれんな」
「親父、立候補するのか?」
「しないさ……政治家になるのなら悪人でないと務まらんよ」
親父は苦笑しつつも妻の荷物を寝室へと運んだ。

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