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牡馬の魔術
官能リレー小説 - 同性愛♂

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牡馬の魔術 2

「何をにわか獣人が偉そうに。脚が速いだけの馬が、私の縄張りに何の用?」
暗がりから角の生えた背の高い女性、いや牝のミノタウロスのようだ。
牡と違い牛よりも人に近い美しい姿であったが、それでも屈強な大男でも自在に操るのは困難と思える大きさと重さであろう斧を軽々と担いでいる。膝から下は牛の後ろ脚を思わせる形で蹄が有り、尻尾が怪しく揺れていた。
発達した乳房も毛皮で覆っているので、全裸の俺よりも文化的に見える。洞窟や廃墟は古代から人外や魔物が好む場所だったのを思い出す。
「どうして、俺がにわかだと?」
「その中途半端な魔力に決まってるじゃない」
俺は肉棒を手で隠しながら返す。
「仕方が無いだろう、事故でこうなってしまったのだから。まだ色々と調子がつかめていないらしい」
「事故で?」
「そうだ…爆発が発生したと思ったらどういうわけかこんな姿に。30分前の事だ」
「にわかどころかなりたてというわけか。奇妙な事故だな」
「正直全くわけがわからない。とりあえず、姿が確認出来る物が欲しい。自分の体を隅々まで観察したい」
「水面に写せばいい。来い」
「地底湖か」
「そんな感じだ」
俺は彼女についていく。馬の頭になったせいで視野が広いし、堅牢な骨格に馬の足なので人間ならかなりきついであろう道中でもまごつかない。
実験が成功すれば俺は自分に足りなかったルックスと強靭な肉体を手に入れる予定だった。しかし、肉体は成功しても顔は人でなくなって女にモテるどころではなくなった。
そして、今や官憲に追われる身だ。捕まれば、間違いなく異端だの邪悪だのと言われて処刑されるだろう。実験で近隣に被害も出ているだろうから、家に戻ることも出来ない。
しかし、逃げてきたとはいえ、彼女のような魔物は少なくとも俺を嫌っていない。にわかと言われる通り侮られてはいるが、武器を向けてこないので敵とは思われていないようだ。
魔物として生活するしかないのだろうか、そんな事を考えながらも地底湖に向かう。

「着いたぞ」
地底湖はそこそこの広さだった。水は澄んでいるのでどこか外と繋がっているらしい。
これなら肉体美を映すことが出来そうだった。
顔だけでなく首も馬で鬣もある。これでは少しフードを被ったり仮面で誤魔化せそうにない。
手は今までどおり指があって作業に支障はない。肉体は褐色で筋骨隆々だ。男根も前よりも長大になっている。
「魔物はどうやって暮らしている?」
「人とは違った社会だ。お前たちが亜人と呼ぶ連中はこっち寄りだ。地下都市や魔物だけの島もある」
「魔物の街には俺みたいなのもいるか?」
「馬も牛もいる。ケンタウロスもたまに来る。狼男もいるぞ」

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