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山の男
官能リレー小説 - 同性愛♂

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山の男 1

山は小さいころからの遊び場だ。
「何が怖いことなどあるもんか」
向こう意気と図体だけは立派な利八だった。
自慢の筋肉をこれでもかといきり立たせながら
利八は、ずんずんと木立の中に分け入って行った。
少し進むごとに、折れた枝、今しがた踏みしだかれた草
獣の気配やら、においまでがそこここに残されていた。
まるで追っていく狩人を誘い込むように・・。
「ほれみれ。でっけえやつがいるんじゃねぇか」
利八はもう、夢中だった。大股で胸を張って歩いていく。
男らしい顔つきに精気がみなぎり、自信満々だ。
その自信がさらに彼の足を速めた。
どれくらい歩いただろうか? ふいに利八は立ち止まった。
「な、なんだこいつぁ?」
思わず声が出た。
目の前には、巨大な岩があった。
それは、どうみても人の手で掘られたものだ。
高さにして2丈(6メートル)はあるだろう。
岩肌から削り出されたかのように、奇妙に角ばっている。
表面には何か模様のようなものが描かれている。
それが何なのか利八にはわからなかった。
ただ、ひどく不気味なものに思えた。
「こんなもんがあるなんて聞いてねえぞ…」
そう言いながらも利八はその岩を見上げていた。なぜか目を離すことができなかったのだ。
しばらくすると、利八の中で得体の知れない感情がわいた。
不安とか恐怖ではない。もっと別の…。

その岩が急かすような、誘うような不思議な感覚だった。
気がつくと利八は手をかけていた。
そして、そのままよじ登っていた。
最初はおっかなびっくりだったが、すぐに慣れてきた。
利八は登りはじめた。
さすがに息がきれる。しかし登る手を止めなかった。
やがて岩の頂上にたどり着いた。
そこから見渡した景色を見て、利八はあっと驚いた。
そこには、この世の物とは思えない光景が広がっていたからだ。明らかに登る前とは様子が違っている。
見えるはずの山並みがない。その代わりに見えるものは、真っ白な霧に包まれた世界だけだ。空までもが白く霞んでいる。
まるで別世界に迷い込んだようだ。何も見えない岩の上で利八は呆然としていた。
いつしか利八は褌を脱ぎ捨てていた。
素っ裸になった彼は、岩の上で仁王立ちになり雄叫びをあげた。

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