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『鵺と妖刀』妖気は伝染する
官能リレー小説 - 同性愛♂

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『鵺と妖刀』妖気は伝染する 5

狭い洞窟の中は、たちまち男達でぎゅうぎゅう詰めになってしまう。
「ぐおお!どけぇ!」
「てめえら邪魔なんだよお!」
「おい、俺の足を踏んでんじゃねえよ!」
「うるせえ!もっと詰めろやコラぁ!」野盗達は罵声を浴びせ合いながら押し合いを続ける。
たまたま壁にあった深い窪みに逃げ込んでいた佐次郎と五郎蔵は、その状況に巻き込まれずに済んだ。野盗達は窪みに身を潜めている二人に気づいているが、構っている余裕は無いようだ。
誰が一番最初にあの花を手に入れるのか、それだけが彼等の関心事なのだ。二人が花を奪おうとしていないとわかった今、彼等の目には花しか映っていない。
しかし狭い洞窟にこれだけの人数が押しかけてしまったため、もう身動きすらままならない状態になってしまった。
このままだと将棋倒しになって怪我人が出てしまいそうな程の混乱状態である。
「くそぉ!狭いなあ、もっとそっちに行けよ!」
「うるせえな!お前が邪魔なんだよ!」
「お前らどけやコラぁ!」
野盗達は罵声を浴びせ合うばかりで、誰一人退く気配を見せない。誰もが花を我が物にしようと必死なのだ。
そんな中、ついに均衡が崩れ始めた。
花から漏れ出ていた赤黒い粘液がどんどん地面に広がり始め、洞窟内を侵食していく。
粘液に触れてしまった野盗達の足からそれがじわじわと這い上がっていく。
「お…おい!なんだこりゃあ!」
「ひいっ!助けてくれえ!」
その異様な光景に、さしもの荒くれ者達も恐怖を覚えたようだ。
「お…おい!お前ら何やってるんだ!早く逃げろよ!」
佐次郎が呼びかけるが、野盗達は足を粘液に絡め取られ身動きが取れなくなっているようだ。しかも洞窟の出入り口も
徐々に粘液によって塞がれていく。
「お…おい、こりゃあ一体どういうことなんだ!?」
五郎蔵が大声で叫ぶと、近くにいた野盗の一人がそれに答えた。

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