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『鵺と妖刀』妖気は伝染する
官能リレー小説 - 同性愛♂

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『鵺と妖刀』妖気は伝染する 3

もしこの二人に邪魔されたとしたら、噂の花は手に入らないどころか最悪命を落としかねない。二人の目的が花でないことを祈りながら、野盗達は素っ裸のまま急いで後を追うことにした。
佐次郎と五郎蔵の二人は、道中特に問題も無く山道を進んでいた。
佐次郎の足取りには迷いがなく、この山に慣れている事が窺える。野盗の集団に追われていた事など忘れたかの様に、五郎蔵はすっかり安心しきっていた。
佐次郎はというと、五郎蔵から剣を貰うことを諦めていなかった。どうにかして譲り受けようと機会を窺っていたが、なかなか言い出せずにいた。

(いっその事、力ずくで奪うか…?今なら気を逸らせそうだし、いけるかもしれない)
佐次郎はそんなことを考えていたが、ふと背後から何かが迫ってくる気配を感じた。
振り返ると、全裸の男達が物凄い勢いで走ってくるのが見える。これが野盗達なのだが、なぜ彼等が全裸なのかを二人が知る筈も無い。
「なっ何だ!何なんだあれは!」
「分からん!とにかく逃げるぞ!」
二人は一目散に逃げ始めたが、野盗達はそれを例の花がある場所に向かっていると思い込みますます怒りを募らせていった。
「野郎ども!あのクソ共を捕まえろぉー!」
「おうよ!あの花は俺達のもんだ!あいつらに横取りされてたまるか!」
こうして佐次郎と五郎蔵の二人は、野盗達との鬼ごっこを始める事になった。
股間を泡で隠しただけの男達に追いかけられるという状況に、二人は恐怖を覚えていた。
「うわあ!なんでこんなことに!」
「このままではいずれ捕まる!どこか隠れられる場所はないか!」
「あっ!あそこに洞窟があるぞ!」
五郎蔵が指差す先には、確かに壁に小さな穴が空いていた。二人は迷わずその中へと飛び込んだ。
「よしっ、何とか逃げ込めたみたいだな…。それにしても、一体何だったんだ今の連中は…」
そう呟きつつ、佐次郎は後ろを振り返る。素っ裸の野盗達は二人を完全に見失っており、キョロキョロと辺りを見回していた。
洞窟の入口が見えていないのだろうか?

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