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勇者が消えた?
官能リレー小説 - 同性愛♂

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勇者が消えた? 1

「これは…どういうことだ?」
神殿のとある一室にて、一人の男がそう呟く。その声は驚愕と動揺に満ちており、表情にはありありとした困惑の色が浮かんでいた。
男の名は『ガナド・タルベル』。この神殿の最高司祭である。彼は今、部下からの報告を受けて非常に困惑していた。その内容は至極単純なものだ。
「勇者が消えただと!?」
「はい…。どうやら勇者様一行は、忽然と姿を消してしまったようです…」
ガナドの問いに対し、報告をした男は申し訳なさそうな顔をして答える。そして彼はそのまま頭を下げて謝罪した。
「申し訳ございません!まさかこんなことになるとは思わず…!」
「謝って済む問題ではないぞ!一体何があったのだ!?」
「それが…我々にもさっぱりで…」
部下の言葉を聞いて、ガナドは大きくため息を吐いた。そんな彼に対して、部下はさらに言葉を続ける。
「ただ、一つだけ気になることがあるのですが…」
「なんだ?言ってみろ」
「彼等は王都へ向かうと言っていたはずなんですが、何故か途中で進路を変えて森の方へと向かっていったようなんですよね…」
「森へだと?なんのためにだ?」
「分かりません。一応追跡させたんですけど、すぐに見失ってしまいまして…」
「ふむ…」
部下の説明を聞き、ガナドは顎に手を当てながら考え込む。
そこでようやく思い出す。森の奥に奇妙な大木が出現したことを。
「もしかしたらあの木が原因なのかもしれんな…」
「あぁ、例の木ですか。艶やかな巨大な花を咲かす変わった特徴を持った植物ですよね。正直あんなもの見たことも聞いたこともありませんでしたよ。まぁでも所詮は植物でしょうし、放っておいてもいいんじゃないですか?どうせそのうち枯れると思いますよ」
「その花なんだがな…」
部下の発言を受け、ガナドは少し言いづらそうに口を開く。
「お前はその花について何も知らないのか?」
「えっ?どういうことですか?」
「実はその花だがな…どうやら魔物らしいんだ」
「魔物…ですか?」
部下の男はそれを聞くと不思議そうな顔を浮かべた。そしてそのまま首を傾げつつ質問をする。
「仮に本当に魔物だったとしても、どうして勇者様方がそれを倒さなかったんでしょうかね?」
「その花の香りを嗅いだ男がふらふらと誘い込まれてしまう事がたまにあるらしいのだ。そうして近づいた男を花が捕食してしまう。巨大な花を沢山傘のようにぶらさげて、男を吸い込んでは袋をぶら下げた様な形へと変化する」
「その中の男はやはり消化されて死ぬんですか?」
「いいや、過去に何人かやられたようだが未だに花の中に閉じ込められたままらしい。生きてるか死んでるかも確認が出来ていない」
「それに勇者様一行が飲まれたのなら、きっともう助かりませんよね…。あっ、すいません!不謹慎なことを言いました!」
「構わん。俺も同じ意見だからな…」
「しかし、なんでこんな危険なものが今まで放置されていたのです?さっさと焼くなりすれば勇者達も食われずに済んだのでは?それにあの木の周辺に人が近づかないように警備を敷けば良かったじゃないですか」
部下はガナドに向かって疑問をぶつけていく。それを聞いたガナドは面倒くさそうに頭を掻きながら答えた。

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