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洋館
官能リレー小説 - その他

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洋館 1

12月24日だった。
その日からこの洋館では怪奇現象が起きるようになった。
深夜になると、突然春夫の部屋の扉が開いたり閉まったり。
誰もいない空間から激しい足音が聞こえてきたりと不思議なことが相次ぐようになったのだ。
「今日も聞こえる…僕の部屋の扉が勝手に開いたり閉まったりしてるよ」
「幽霊だろうか?」
僕は不動産屋の用意した資料に目を通した。
事故物件などの情報の場合、普通は初めの場合を除き告知義務は必要ない
しかし、この物件に関する調査報告書があるのはそれだけリスクがある物件ということだろう。
この資料自体は前の住人者が調べた内容であるとのことだった。
しかし、僕はすでにその前住居者を知っている。
前任者の名前は葉月あきらという1×歳の女性。
1月前に失踪した僕の姪であり、探偵見習だった。
失踪前の最後の電話がかかってきたのは11月12日
遮蔽物のない島の風は秋の冷気の刃を一層と鋭く貫いていた。
午後11時44分 洋館と同じ獄門女人島 の麓 海上温泉旅館 「癒し」
僕は温泉上がりののぼせた体をその風にさらしながらその電話を受けた。
定期連絡時間を6時間オーバーしている。もっとも、様々な事情があるこの仕事では日常茶飯事なのでその時は
さほど警戒はしていなかった。
 しかし、電話に出た瞬間それが甘い考えであることを思い知らされた。
「…さん。私です。兼成…さんの…洋館の報告ですが…です。体が…にやられてる。理性が…残っているうちに、私
あ…何するの…それは…それはもうやめて。いやああああああああああ ピチャ…グチョロ ツ ツーツー」
電話に残されたメッセージは唐突に終わりを告げた。彼女は普通のスマートフォンのほかに、カチューシャ内蔵式通話機、とメール変換用電子辞書の3つを所持している。通信手段によってその危機的状況を判断できるようになっている。
その後、彼女への連絡を試みたが無駄であった

11月13日 AM9時00分 
島の駐在によって洋館の家宅捜索が行われた。
もちろんその日のうちに僕は連絡を入れた。しかし
緊急事態ではあったが、夜間のため、対応ができないとのことだった
本来、こういう場合には、危険を配慮して複数の警官を配備し、対応にあたるのはセオリー通りなのだが、その日に参加したのは僕と40歳の中年の駐在だけであった。馬鹿にするのもほどがある。
しかも、この駐在は不祥事により、この島に赴任させられたとのことで道すがらなんども同じ愚痴を話していた。
僕は向かう間も、知り合いの警官数名に電話をかけたが
「だめだ。その島はなぜか警察権限が及ばない。いわゆる治外法権ってやつらしい。そこの警官についてもデータベースを見てみたが・・と内緒だがな。登録がない。というより、数年前に殉職しているんだ。なにかヤバいことにまきこまれたようだな。」


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