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幻に終わったアンケート/彼女たちのその後
官能リレー小説 - その他

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幻に終わったアンケート/彼女たちのその後 2

記入拒否したのは他にも居る、男子では僕と一緒に卒アル制作委員をやっていた杉並祐志だ。
祐志はなぜかこのアンケートの紙が配られた時点ですでに不機嫌になっていて、結局最後まで一言も喋らなかった。
その祐志の名前はアルバムのどこにも無い。A組に存在していないのだ。
B組の欄にも載っていない。C組にもD組にも。
どこを探しても見当たらない。
そもそも杉並祐志という男子生徒は実在していたのだろうか?僕は自信が無くなってくる。
卒アル制作委員として毎日のように顔を合わせていただけでなく、同じクラスで席が隣同士だったのにもかかわらずあやふやにしか思い出せない。
席が隣同士なのだから記憶違いというわけはないと思うのだが…。
とりあえず教室全体が写っている別のページを見てみるが、僕の隣の席には誰も座っていない。
仮にその席にはじめから誰も座っていなくて、杉並が僕の妄想にしか存在しないクラスメートだったとしても異様だ。誰も座っていない席をわざわざ卒業アルバムで写真に収めることなど普通は無い。
僕は混乱しながらも、それでもどこか冷静に分析している自分に気付く。
答えが出ないまま、僕は卒業アルバムとアンケートのコピーを机の奥深くにしまった。そしてそのまま忘れてしまった。
今思えば、それがすべての始まりだったのだ。
このコピーが、とんでもない事件の引き金になろうとは誰が予想しただろうか?
こんな事があってから1週間後、僕は思わぬ形でその杉並祐志と再会する事になる。
坂道を転がり落ちてきた物は、茶色のトランクだった。大きさは旅行用のキャリーバッグほど、形はボストンバッグに近い。
取っ手の付け根が壊れているのは、坂道を転がっているせいだろう。
僕はとりあえず転がるバッグを手で押さえて止めた。
「危ないなぁ」

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