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優柔不断な恋心♀×♂♂
官能リレー小説 - 女性向け

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優柔不断な恋心♀×♂♂ 2

それでもリカが雅志とは別れない理由はあった。

雅志には強士は知らない、リカだけしか知らない、秘密があった。

初め、それを強士が知らないとは、リカは思ってもいなかった。
しかし会話の隅々に噛み合わない部分が垣間見え、
次第にそれは強士の誤解と言うよりも、雅志の嘘だということにリカは気付いた。
それを知ってからリカは尚更、雅志のことを愛しく思った。
強士も知らない男の弱味を、リカにだけ打ち明けてくれたその事が、リカには堪らなく嬉しかった。

それがあるからこそ、自分は毎度毎度の強士の呼び出しにも素直に応じ、
すっぽかすことなく出向いて来るのだと、リカは思っていた。

そして、偉そうに自分に説教する強士が、
実は雅志の核心部分は何も分かっていないという、その事実が可笑しく、
どこかほくそ笑んでしまうこの状況が、リカは嫌いではなかった。

それに、リカは強士のことを苦手に思ってはいても、嫌いではなかった。
友達思いのその熱いところは、草食男子全盛の学校ではむしろ新鮮に写っていたし、
老若男女、誰もが好感を抱くであろう、その爽やかなビジュアルには、リカも少なからずとも引かれていた。

見た目から言えば、線の細い雅志よりも、"強士との方がリカにはお似合い"と言う女友達も少なくはなかった。

そんな強士が女子トークに華を咲かせることはしばしばあった。
腰で絞める紐ベルトから覗き見える、強士のボクサーショーツの色を報告し合うのは日課であったし
強士の引き締まった小振りな尻は、男性特有に脂肪は無く、それは女子たちの憧れの的だった。

少なからずとも、女子たちにも性欲はあるのだ。
それを男子たちは知らない。
たぶん男たちは、女の性欲など知りたく無いと思っているのだと、リカは思っていた。

こうしていても、何処か目の横で、リカは強士の身体を見ていた。

半袖の開衿シャツから伸びた、陽に焼けた腕・・
その逞しい腕が髪を掻き揚げる度に袖が開き、垣間見える黒い陰毛を隠れ見、気恥ずかしさを覚えたりもした。

そして男の膨らみ・・・
男なら誰しもあって当然なその膨らみを、どこか目で追い、
その形状や、それを癒す強士の姿を想像し、仄んのりと頬を染めたりもした。

こんな風に、恋人でも無い男子の裸を思い浮かべ、
胸をときめかすのは、リカに限ったことではない。
女子は皆同じ。
男子は何も知らない。

テレビで観るジャニーズタレントや韓流スターに奇声を上げる女の子たちだって一緒…
彼らのアンダーを脱がす妄想を、したことのない女の子は…いない。

男子が好きな、ウブで貞淑な乙女なんて、本当は存在しない…

それでも、女の子は男子に好かれる為なら演じられる…何だってできる…
本来持った女の性欲を男子が嫌うなら、
女の子は"乙女"に化けることなんて、簡単なの…。

「お前、ちゃんと聞いてんのかよ〜?」
突然、強士に覗き込まれたリカは、慌てて思考を戻すものの、その表情は赤らんでいた。

「コレだよ…雅志が苦労するのも分かるよ…」
「ちゃんと聞いてるって!…私が悪かったって、ちゃんと雅志に謝ればいいんでしょ?」

「ま、そうするべきだと、俺は思うぜ…」
強士は自分のアドバイスが通じたのだと、勘違いしたらしく、誇らし気に髪をかき揚げた。


校庭から聞こえていた、運動部員たちの掛け声が、途切れて消えた。
まだ明るい空に、白い月が薄く浮かぶのが、遠くで見え初めていた。

「お!もうこんな時間かよ…付き合わせて悪かったな」
強士はリカに背を向け、階段に向けて歩いて行く。
その後ろ姿の、形のいいヒップラインを何気に見ながら、リカは声を上げた。
「ねえ!」
「ん?」

「何で強士はカノジョ作らないのぉ?!」

強士の背中がピクリと動き、歩みも一瞬止まったが、振り向くことはなかった。
リカに背を向けたまま、人さし指と中指を合わせ、それをキザに振りながら階段室へと消えていった。

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