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折檻 魔の女刑務所
官能リレー小説 - SM

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折檻 魔の女刑務所 4

(なにが悪かったの? これは、なんの罰なの?)
自問に答えは生まれない。ただこれが罰だというのなら、謝れば許してもらえるのかもしれない。
「ごめ……なさい……。ごめん……なさい……。ごめん……なさ……」
酷使され擦り切れきったリリナの心は、もう感情すら失いかけている。死にかけの心が導きだしたそんな一縷の望みは、ただ壊れたスピーカーのようにひたすらに紡がれる憐れな謝罪となって、絞り出されるように発せられては消える。
滑稽に。
「ごめ……ん……なさ……い……」
クムラが、機械のスイッチをいれた。

―――――。



   2.【受刑者番号008 ミィ】


「いや! だめ!」
刑罰室。暗い闇の中、ミィは襲いくる看守から必死で逃げ惑っていた。
照明は煌々と照らされているのだが、ミィはそれを活用するための器官の機能を失っている。
「ほらどうした。逃げないとまた酷い目に合うぞ」
闇のなかから看守の声がとぶ。
次の瞬間、裸に剥かれ露にされた胸になにか鋭いものを叩きつけられた。
「ひいぃっ!」
ミィにはわからないが、それは鞭である。
革製の固い鞭での暴行はもう何時間も続けられている。ミィの全身には痛々しい蚯蚓腫れが何本も走っていた。
「ううぅ……。やめてよう……」
小動物のように肩を抱いて身を丸めるミィ。
そんなミィを鞭をかまえて見下ろしながら、ズシという看守は被虐に満ちた不気味な笑みを浮かべていた。


ミィがこの刑務所に収容されたのは、まだ僅か一週間前のことである。それまで彼女は、国営の養護施設で暮らしていた。
ミィは孤児である。
十年前、まだミィが赤ん坊だった頃に、両親は火災で亡くなった。彼女の視覚障害もそのときに負ったのだ。そう施設の職員に聞かされていた。
それでもミィは、自分を別段不幸だと思ったことはなかった。
施設には自分と同じ両親のいない子がたくさんいたし、だからこそみんな仲のいい家族であった。優しい先生たちと、大好きな仲間たちに囲まれた、裕福では決してなかったけれど幸せな生活だった。
それがある日、崩壊した。
その日は、月に一度のパーティーの日だった。
施設の子供たちのほとんどは、もう誕生日を祝ってくれる家族がいない。それどころかミィのように、自分の誕生日さえ知らない子も多い。
そこで施設では、毎月仲間になった月を仮の誕生月として、お祝いのパーティーをしていた。
ミィが施設に引き取られたのは十年前のこの月であった。ミィと、ミィより年少の女の子二人が、そのパーティーの主役だった。
みんなからはオジイと呼ばれているひげを蓄えた所長が、自慢の腕を奮ってご馳走を作ってくれた。とてもいい香りで、ミィにはわからないが見た目もとても美味しそうだったのだと思う。
準備も整い、さあパーティーを始めよう、というときに、それは来た。
そこからの記憶も、当然ミィには聴覚と嗅覚で得た情報でしかない。
最初に聞こえたのは、もう夜も遅いというのに荒々しく響いたノック。オジイが「はあい」と答えながら玄関へ向かう足音が続いた。
ミィはその時点では、それが自分に関わる来客だとは夢にも思っていなかった。ただ美味しそうな香りを漂わせる料理がしばしお預けになった口惜しさで、その来客に唇を尖らせていただけだった。
(もうっ。なんなのさ、こんなときに!)

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