PiPi's World 投稿小説

お隣さんは声優さん
官能リレー小説 - アイドル/芸能人

の最初へ
 -1
 1
の最後へ

お隣さんは声優さん 1

モニターの向こうで生き生きと躍動し、笑い合い、かけがえのない日常を過ごす可愛らしいアニメキャラ。
俺はそんな姿をベッドで横になりながら少しだらしないニヤケ顔を浮かべながら眺めていた。

この子は可愛いな、天使だ。声もいい。

『来週もまた見てねっ!!』

二次元の美少女が手を振りそう言い、画面は停止する。
現実に引き戻される瞬間だ。
一週間の仕事を乗り越えた先にあるのは、録画した大好きなアニメを一気に見る楽しみ。
毎週の習慣だ。

「今週もいい回だった…あっ、もうお昼か」

枕元のデジタル時計は、12時11分と示している。
タイミングよく腹も鳴った。
何もしていないけどしっかり腹は減る。何か作るか?そんな気にはならない。
ちょっと面倒くさいが何か買いに行くか…

近所のコンビニに行き適当に美味しそうな弁当とサラダ、それにお茶を選ぶ。
大学を卒業して一人暮らしをはじめ3年ほど経つが、自炊するのは稀で、こうしてコンビニやスーパーで買う弁当、惣菜、レトルト物やカップ麺…十分腹は満たされるし普通に美味い。技術の進歩万歳。
レジに行く前に食玩の棚を見ると、さっきまで見ていたアニメのキャラのラバーストラップが並んでいた。
俺はそれを一つとってレジで昼飯と一緒に購入する。最近はこういうグッズが多くなった。ついつい買ってしまう。


マンション3階の自分の部屋に戻り、ジーパンのポケットからカギを取り出し開けようとする。
すると隣の部屋の扉がゆっくりと開きだす。そして中から住人が顔を出す。

「あっ」
視線が合う。
思わず間抜けな声を出してしまい、カギを開けかけた手が止まる。
顔を出した隣人の女の子はにこやかな笑みを浮かべた。

「森さん、こんにちは♪」
「ど、どうも」
「今からお昼ですか?」
「ええ、そんなとこです」
「毎日コンビニのお弁当じゃ栄養偏っちゃいますよぉ」
「ははは、そうは思っているんだけどね」

「とはいうものの、私もコンビニスイーツ大好きで、新しいのが出るとすぐに買っちゃうんですよね〜。コンビニでも侮れない、美味しいの多いし、食べた後の罪悪感は感じちゃうけどぉ…森さん、甘いものは好きですか?」
「うーん、僕はそんなに…」

普通に会話してるように努めているが、どうも気の利いた言葉が浮かばず、適当に相槌打ってるだけのようになってしまう。それでも笑顔で喋る彼女。可愛い。

彼女の名は湯原里緒菜、22歳。通称りおなん。アニメファンの間では注目の若手女性声優である。

小動物を思わせる小柄な身体にぱっちりと大きな瞳。それでいてグラビアアイドルのように大きな胸。そして何より鈴を転がしたような可愛らしい声。
湯原里緒菜が声優としての活動を始めたのは15歳の時で、当初はあまり目立たなかったもののデビュー3年目に放送された「ラブ☆セッション」でヒロインの草壁あかりを演じ、大ヒットした作品とともに声優としても大ブレークを果たす。
そんな大人気声優が相手なのだ。うまく話せないのも無理はない、と思ってほしい…

「あっ、ごめんなさい、お昼前に引き留めちゃって」
「いえ、全然平気です。湯原さんは、これからお出かけ?」
「はい。これから現場………いえ、バイトで」
「そっか。頑張ってね」
「ありがとうございます。行ってきますねっ」


湯原さん―りおなんは、眩しい笑顔を残し、サラサラのロングヘアの黒髪をなびかせて去っていく。俺の前を横切る際に、女の子特有のふんわりと甘い匂いが鼻先をくすぐった。エレベーターに乗り込んだ小さな背中が見えなくなるまで見送った俺は長いため息を吐き緊張を解く。

1年前、りおなんが引っ越してきたときは本当に驚いた。当時声優にはあまり詳しくなかった俺でもその名前と容姿は何となく認識していたので、目の前に本人が現れた時は夢でも見ているのかと錯覚した。
りおなんはプライベートでもとてもいい子だった。俺みたいな冴えない男でも元気で明るい声で挨拶してくれて、そんな彼女を見るとこちらも一日頑張ろうという気力が湧いてくるものだった。純粋に人としての好感が持てる女の子である。

SNSでこの小説を紹介

アイドル/芸能人の他のリレー小説

こちらから小説を探す