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或るアイドルの末路
官能リレー小説 - アイドル/芸能人

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或るアイドルの末路 1

「えぇ!?桃子をAVにですか!?」
「うん、ちょうど知り合いのAV制作会社の社長から話があってね…。桃子、最近めっきり仕事の量も減っちゃったし、そろそろ良い時期だと思うんだ…」
驚いて思わず声を荒げる俺に社長は淡々と言った。
俺は佐久 健(さく・たけし)。
零細芸能プロダクションに勤める駆け出しのマネージャーだ。
桃子というのはウチに所属している百山 桃子(ももやま・ももこ)というアイドルである。
ちょっと頭は弱いが、顔は第一線で活躍している一流アイドルとタメを張れるくらい可愛い。
オッパイは歩くだけでボインボイン揺れるJカップ。
ちょっと腰回りのお肉が気になるが、ムチムチの太もも、プリプリのお尻…。
彼女は俺が初めてマネージャーを任された女の子だった。
「AVはまだ早くありませんか!?あの子はまだまだイケますよ!!」
「佐久くん、キミがあの子に思い入れがあるのはよ〜く分かる。しかしね、自分の担当したアイドルがAV堕ちする…これはマネージャーなら誰でも皆経験する事なんだよ」
「もう一度…もう一度だけあの子にチャンスをくれませんか!?」
俺は社長の机の前で土下座した。
しかし、それに対する返事は非情なものだった。
「頭を上げなさい!そんな事をしても無駄だ。我々は慈善事業じゃないんだからな。売れないアイドルを食わせる余裕は無いんだよ」

数分後、社長室を出た俺は重い足取りで控え室に向かっていた。
桃子にAV出演の事を言い渡すのは俺の役目だった。
「辛い役目だよなぁ…」
彼女は幼い頃からアイドルに憧れていたらしく、夢を抱いて高校を卒業して田舎から出て来たのだった。
いくつかの芸能事務所の面接を受けたが採用には至らず、これでダメなら諦めて田舎に帰ろうと、最後に門を叩いたのが我がプロダクションだった。
我が事務所は零細ゆえ人手が足りず、新人の俺まで採用面接に立ち会わされたのだが、そこで初めて彼女を見た俺は何かを感じた。
その時点での彼女はパッと見、田舎から出て来たばかりのイモ臭い娘…という感じだったが、俺は何だか宝石の原石を見つけた気がした。
「あの子は磨けば“化ける”可能性ありますよ!」
俺は強硬に社長に訴えた。
「…よし、分かった!そこまで言うなら、あの子の事は君に任せようじゃないか」
社長も認めてくれた。
こうして彼女は我がプロダクション所属のアイドルとなったのである。
「ほ…本当ですかぁ!?本当に私アイドルになれるんですかぁ!?」
後日、採用通知を受け取った時の彼女の喜びようと言ったら無かった。
芸名は彼女の桃みたいな巨乳とお尻から“百山 桃子”とした。

そして俺の読み通り、彼女は宝石の原石だった。
プロのスタイリストによる化粧をし、流行の服に身を包んだ桃子は、一流アイドルにも引けを取らなかった。
数多くのアイドルをその目で見てきた社長すら、彼女の容姿を認めた。
ところが…
この世界、可愛さだけで渡っていけるほど甘くは無かった。
求められていたのは“容姿”より、むしろ“キャラ”だったのだ。
その点では桃子は弱かったようで、結局デビューして一年も経たない内にゴールデンタイムから姿を消し、二年が過ぎた今では深夜番組の出演依頼すら無くなってしまった…。
彼女を通して俺もこの世界の無常さを教えられた二年間だった。

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