初体験はお姉ちゃんそして…… 164
着いた所はちょっと高そうなレストラン。
「お姉ちゃんこんな高級そうなところで良いの?」
「そういうこと言わないの。今日は甘えて良いって言ったでしょ。」
「ありがと。」
「いらっしゃいませ。」
「二人で禁煙席。」
「かしこまりました。どうぞ。」
「ふぅ。」
窓際に向かい合わせに座った。
「ご注文お決まりになりましたらお呼びください。」
「今日の日替わりディナーは?」
「若鶏のグリルセットで御座います。」
「そう。分かったわ。さて、如何しようか?」
「……」
「……聞いてる?」
「あ、僕に言ったの?」
「独り言だと思った?」
「うん。」
「ちょっとボーっとしてるわね。」
「うん……さっきのお姉ちゃんの言葉が……」
「気になる?」
「……うん……」
「ふ〜ん。でも今は食事に集中しましょ。」
「うん、そうする。」
「え〜と……目移りするわね……」
「お姉ちゃんこれは如何?」
「『キングオブプレート』ってやつ?」
「エビフライタルタルソース添えに目玉焼きを乗せたハンバーグ、ミニサイコロステーキ、粗引きウィンナー、更に日替わりメニュー付だって。ライススープ付にもできるって。」
「じゃあ後サラダ頼んでライス大盛りにしてもらってそれ二人で食べる?」
「それで十分だと思うよ。」
「『キングオブプレート』ライススープ付でライス大盛り。それと『大盛りサラダ』。」
「かしこまりました。」
「あ、待って。」
「はい。何でしょうか?」
「飲み物のメニューを頂けるかしら。」
「ただいまお持ちいたします。」
「さてと……何が良いかしらね?」
「食べながら飲むの?それとも食後?」
「食後はまた別のもの頼みましょ。デザートと一緒に。」
「じゃあお茶とか?」
「何か変わった物が良いんじゃない?」
「そうだね。」
「メロンジュースかな?」
「じゃあ……僕はマンゴージュースで良い?」
「何で疑問系?」
「お姉ちゃんのお財布で食べるから……」
「気にしない気にしない。」
「お姉ちゃんいつもありがとう。」
「良いってば。それに私の財布じゃなくってナイフとフォークでね。」
「……そのギャグイマイチかな?」
「座布団取られちゃうか……あ、メロンジュースとマンゴージュースで。」
「はい。少々お待ちください。」
ボーイさんの複雑な表情が痛かった。
「ふふふっ。」
「お姉ちゃん如何したの?」
「なんだかデートっぽくて良いなって思ったの。彼氏とはこんなことしなかったから。」
「……」
僕は如何答えるべきか分からず沈黙してしまった。