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神装機伝アハトレーダー
官能リレー小説 - SF

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神装機伝アハトレーダー 2

いた、そんなある日…私は、“ソレ”と出会った…。

「あー、大分遅くなったなぁ…」
テニス部の先輩の特訓で時は七時、遠くの街が光っていた。
帰り道は田舎道。
周りは黒に沈んでいた。
星空を眺めながら歩いている。
この道は周りに光が無いから星を見られる場所なのだ。
眺める空。
しかし一瞬、星の光が歪に曲がった。
「……あれ…?」
少女はその様子を見逃さなかった。
「疲れてるのかな、ハハハ……」
思い付く言葉で誤魔化す。

だが、少女は知らない。
自分が大きなうねりに巻き込まれていることに――――。
そして星は少女の眼前に舞い降りた。
星は二十メートルはある巨大な人型。
漆黒の塗装に真っ赤なツインアイ。
全身から禍々しいほどのオーラが吹き出していた。
「何、これ?」
人型の胸部から光の粒子が現れ、頭部にて人になった。
それもまた人型だった。
漆黒のスーツにヘルメット、ヘルメットの中から二つの目が輝いていた。
「ここが地球か!? 星が綺麗だ! まさにこのゼイル様に相応しい!!」
少女は困惑していた。
(何だ何だなんだ!? 何なのこの状況!?)
だが逃げ出そうとは考えなかった。


(何て良い状況なのッ!)
彼女は歓喜した。
彼女はつまらない日常にうんざりしていた。
だがその日常をぶっ壊してくれる何かが、今目の前に現れたのだ。
彼女は考えるより先に叫んでいた。
「すいませーん! ゼイルさーん!」
瞬間、ゼイルは降ってきた。
「トウ! 娘、私を呼んだか!」
遥か頭上から現れたゼイルを見て少女はさらに興奮した。
「呼びました! 聞きたい事があるんですッ!!」
「ほう、良いだろう! 聞きたまえ!!!」
ゼイルも負けずにテンションを上げた。
「ゼイルさんは異世界人ですか!?」


普通なら絶対に答えてはくれぬだろう質問をした。
「そうだッ! 私、ゼイル・ラ=バイルは異世界人であるッ!」
だがこの男は普通ではなかった。
その答えに少女の興奮は最高潮に達した。
「フォォォ!!! ゼイルさんは何のために地球へ!?」
その問いにゼイルは楽しそうに低く笑った。
「クックックッ! それは世界征服だッ!」
「手伝います!」
「そうか我が敵に………何ー!!?」
ゼイルは予想外の答えに素頓狂な声を出してしまった。
「ちょうど日常に退屈してたところです!」
「…正気か?」

ゼイルは探るように一歩近付く。
「正気です!」
少女は確かめるように一歩近付く。
二人は見つめ会うように視線を交えた。
そしてゼイルは突如高笑いを始めた。
「フハハハハハハハ!!! 気に入った! 部下にしてやろう! 娘、名は何と言う?」
その言葉に少女は最高に輝く笑顔になった。
「大蛇院卯月です! あ、卯月が名前ですよ?」
「ウヅキ! 世界征服の暁には、褒美として! この世界をお前にくれてやろう! ガハハハハハ!」
ゼイルが笑う。
「アハハハハハハハ!」
卯月も笑う。
二人の声が闇夜に響く。

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