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幼魔鬼譚〜悪戯好きのアリス〜
官能リレー小説 - ファンタジー系

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幼魔鬼譚〜悪戯好きのアリス〜 88

「一人で勝手に出て行っては厄介な奴らを撒かずに砦に戻ってくるは!」
そして両腕を狂骨の顔に叩きつける。
「挙句の果ては決戦前にふらりと姿を消して井戸に封印されおって!」
炬俐の攻撃は昔の狂骨を思い出す度に威力が上がっていき、警備室全体に小さな亀裂が走りだす。
炬俐の両腕が振り下ろされ、狂骨は床にたたきつけられた。
狂骨の姿が見えなくなるほど床にめり込む。
「やだなあ。まるで俺一人のせいで茨木軍が負けたようじゃないか。」
狂骨は片手で炬俐の両腕を受けながら埋もれた穴から姿を現した。
「ききききさぁまぁ〜!」
炬俐は怒りに理性を失いかけていた。
(どうしよう。狂骨に鵺を任せておけばよ大丈夫そうなんだけど、なんか目を離したら、「やっぱりこっちに行くね」とか言って寝返りそう。でも白面が気になる。)
 ともかく服を着ないと拙いだろうと、紅夜叉はそーっと服の方に近づいていった。

「なぁ、ところでさぁ」
 怒り心頭の炬俐に対して、相変らずマイペースな口調で狂骨が尋ねる。
「呪授(じゅじゅ)が今どうしてるか知らない?」

 呪授とは狂骨が昔飼っていた、以津真天(イツマデ)という人頭鳥身の妖怪である。
 200年前の戦の時に離れ離れになったが、狂骨は大変可愛がって世話をしていた。
 正直、可愛いと言える容姿ではなかったのだが………

「と言っても、知るわけ……」
「あのバカ鳥なら、裏庭の岩に封印されとるわっ!」
炬俐が天井をぶち破るほど高くかざした両腕を振り下ろすと狂骨の両肩に打ち込まれる。
「そうなんだ!ありがとう」
狂骨はそう言うと炬俐の腰に手を回すと相撲の《うっちゃり》よろしく、あしらう様に横に投げた。
ずどどぉん…。
炬俐の巨体が頭から床に突き立った。
その傍らには褌を握りしめた裸の紅夜叉が茫然とたたずんでいた。
「ああ…服が」
炬俐に巻き込まれて床に沈んでしまった。
炬俐の巨体がみるみる萎んでいき、やがて人間の体に戻る。
長い間、人間に化けて暮らしていたため気を失うと習慣で人間に化けてしまった。
そしてちょうど紅夜叉の眼に前に無防備な股間をさらした。
「でかい(ボソ)…じゃなくって!ああ〜!もう、どけよ!服が取れねぇだろ!」
逆さのまま気絶している炬俐の体にゲシゲシと蹴りを入れるが炬俐はぴくりともしない。
狂骨が扉に向かっているのに気づくと紅夜叉は慌てて褌を締めて刀を取ると後を追った。
「とどめは刺さないのか?」

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