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おてんば姫、ファニーの冒険
官能リレー小説 - ファンタジー系

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おてんば姫、ファニーの冒険 83

「総監、今は悔やんでいても仕方有りません。一刻も早く救出の手を」
「わかった、直ぐに内務大臣に報告して救出部隊を出す。必要なら騎士団の手を借りることもできよう」

衞士総監の総監の報告に、内務大臣は仰天した。
よりによって自国の姫が、国の暗部とも言うべき場所に捕らえられたのだ。
直ぐに閣議が招集されたが、議題は姫の救出ではなくティーエら外国人の目からルーグの実体をどのように覆い隠すかだったか。
「あれを他国に知られたらおしまいだ」
「さよう、下手すると我が国は四方からの侵攻を受けるやも」
「だが今さら潰すのは無理だ。そうなれば我が国の財政は破綻する」
「姫の件はどうする」
「それはギルバーンに話を通せばいい。奴らもこちらと争う気はないはずだ。念のため騎士団を動かして脅しをかける」
ギルバーンとはルーグ港を実際に治めている市長だ。
「あの冒険者はどうする。このままだとルーグに突撃しかねない勢いだぞ」
「奴らにはバンドーンへ行ってもらうほか有るまい。それが無理なら道中で始末する」
「あ、あの・・・」
そのとき、おずおずと手を挙げる者がいた。
一番若い閣僚だ。
「このようなことをして、あとで陛下になんと報告すれば・・・」
この男の言い分はもっともなことだ。
自分以外の者は信用せず、常に独断専行を行ってきたエドモンド5世。
例え結果的に最善の判断であっても、許可を取らずに勝手な行動をしたらどんな罰が降るか。
それを聞いた宰相は、フーと長いため息をついた。
「そうだな、良くて罷免。下手すると斬首かもしれん・・・だがこのままでは我が国は破滅だ。それに我々がもっと早く騎士団を動かしていれば、こんなことにはならなかった」
そこには全てに疲れ果てた男がいた。
何もかもどうでも良い、そんなふうだった。
「責任は全て私が取る。だから皆この決定を了承してほしい」
閣僚達は互いの顔色をうかがいながらも、了承の返事を出した。
所がこの閣議の模様を、窓から密かにのぞき見する鳩がいた。
それはただの鳩ではなく、ティーエが放った使い魔だった。
「なるほど、ルーグの奴隷商人とドーリス政府が繋がっている噂は本当でしたか」
ティーエは使い魔に退くよう指示を出し、視界の接続を切り離した。大体の背景はもう見えている。
「ということは姫様、いえ我々全員この国の内部のゴタゴタに巻き込まれてしまったことになりますね」
「くそ、なんてヤツ等だ!」
「短気は起こさないで下さい」
ここ数日ヤバ気な怒気を纏ったままのライズにアンナがすかさず釘を刺す。
「……わかってる。で、どうするんすか?」
「そうですね。まずはルーグに向かいましょう。それから……」
「それから?」
「海賊もろとも街をぶっ潰しましょう」
『はぁぁっ!!?』
ティーエの過激な発言にライズ以外の3人が素っ頓狂な声を上げた。
「思い立ったが吉日、今すぐ向かいましょう。ラーストチュカ、馬の手配を」
「は、はい!」
ティーエの恐ろしい迫力に思わず従ってしまうラーストチュカ。ジュラーブリクとアンナはガクガクと震えている。
本来のアクセル役であるファニーが抜け、ブレーキ役のティーエがファニー以上のアクセルと化した今、パーティは最強の暴走機関車へと変貌していた。
取り急ぎ用意した馬で駆ける5人。ルーグへと駆けながらアンナは質問した。
「奴隷商人に捕まった人たちはどうするんですか?それともしルーグに姫様がいなかった場合は・・・。」
「では聞きます。逆に我々がルーグではなくバンドーンを先にしたとしてそこに姫様たちがいなかったらどうするのですか?」
満足な答えを返さないなら打ち据えられるのでは?そう思わせる迫力を込めてティーエは問い返した。
「そ、それは・・。」
「そういうことです。近いルーグから順に探す。街の魔物と奴隷商人については姫様の所在に関係なく文字通り消滅してもらいます!」
「畜生、もし姫が死んでたり傷物になってたらどうなるか・・・目にもの見せてやるぜ!」
とはライズ。
「案外メメールの魔物たちにもドーリスの連中は裏で手を貸していたのではあるまいな?」
「それについては調査が必要ですが、ルーグの件を考えるとありえないとも言い切れませんね!!」
ジュラーブリクが口にした疑問にもティーエは強い口調で返した。
「どちらにせよ、ルーグに着かないことには何もわかりません。急ぎましょう」
それから5人はひたすら馬を走らせた。
途中で馬がつぶれたり、ドーリス側の追ってをかわしながらひたすら走った。
彼らが着いたのは、三日目の夕刻だった。
「ここがルーグですか…」
ルーグの街は三方を山に囲まれ、西側だけ海に面した港町だ。
「どうする、すぐに攻め込むか」
ティーエは城壁を眺めつつ思案を重ねた。
ただ攻め滅ぼすだけなら、トール・ハンマーで一気に粉砕できるが、それだと関係の無い人間やファニーごと打ち砕いてしまうことになる。
「ここは街に入って情報を収集するほか無いですね。闇雲に戦っても成果はでないでしょ」
ライズは不満そうだったが、ここであせっても仕方が無いと思い一行はルーグの門をくぐった。
さてここで時計の針を3日前に戻してファニーの様子をみてみよう。
カリンカが目指したのは、奴隷市場の元締め所だ。
元締めはゴブリンのロッソという男で、長いキセルでタバコをすい始終プカプカと煙を吐いてる男だ。
最初はカリンカをにこやかに聞いていたが、つれてきたのがドーリスの王女と聞くとしかめっ面し、次にファニーの事を聞くと漫然の笑みを浮かべた。

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