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勇者淫道中
官能リレー小説 - ファンタジー系

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勇者淫道中 9

「そうだな。協力するよ。」
その言葉に、女主任は優しげな笑みを浮かべた。
「自己紹介がまだだったわね。私はロザリア。」
「俺はライ。これが俺の」と言ったところで。
「ライの妻のアンネリーです。よろしくお願いします。」
ぺこりと頭を下げるアンネリー。我が妻ながら可愛い。
「では私は着替えてまいります。しばしお待ちください。」
俺たちにそう言って、女主任ロザリアは去っていった。
これから魔物の出る場所へ行くのにレディーススーツでは無理があるだろう。

そして少し時が過ぎ。
「お待たせしました。」
ロザリアが戻ってきた。その姿は魔術師らしいローブ姿。
「よし!じゃあ行こうぜ!地下13階だったな!」
俺達は出発した。

 コツ…コツ…コツ…コツ…

薄暗い通路を進んでいく。
左右にズラリと並んだ本棚が無ければ、ここが図書館であるという事を忘れてしまいそうだ。
初めは棚も中の本も綺麗に整理整頓され手入れされている感じだったが、進むにつれて蜘蛛の巣がかかっていたり風化して棚が壊れて崩れ落ちていたりと、次第に荒れてきた。
「そろそろモンスターが出て来てもおかしくねえんじゃねえか?」
俺がそう言うとアンネリーが震えながら左腕に抱き付いて来た。
「あ…あなたぁ〜、怖いですぅ…」
「心配すんなって!どんな奴が出て来ても俺の手にかかれば…」
「そう言っていたら本当に出たようですよ?」
ロザリアの言葉に俺は前方を見る。
「キシャアァァッ!」
そこにいたのは簡単な鎧に身を包み、武器を手にしたリザードマンだった。それも三体もいる。
「おらぁ!」
ザシュッ! ザシュッ!
一度の踏み込みで2体のリザードマンを仕留める
「フッ!楽勝だな」

俺の横では、ロザリアの呪文の声。
直後に光の矢が走り、もう一体のリザードマンを倒した。

「すごいです…」
「怖くなかったか?」
「あなたがいるから、大丈夫」

気丈に微笑むアンネリーの頭を撫で、安心させてあげた。

「私もね」

俺たちを見るロザリアの視線が少しだけ湿ってる気がしたのは、間違いじゃないだろう。
イチャついてるのを見せつけられても嬉しくないだろうしな。

「援護してくれてありがとう。すまなかった」
「いえいえ。とにかく行きましょう」

あちこち崩れた、廃墟図書館とでもいうべき中を俺たちはさらに進む。
紙が腐りかけている本もある。
棚ごと崩れて、苔むしている本の山もある。
独特の臭いがうっすらと漂い、独特の雰囲気を醸し出している。
朽ちていくってのは、こういう事を言うんだろうな。

「いっぱい本があったのに、もったいないね」
「そうだな」
「残念な事です。どれほどの知識が失われたか…」

アンネリーの残念そうな言葉に、俺もロザリアも同意する。
遺跡……と呼ぶには、生々しく朽ちていく図書館。
なんて言えばいいんだろう。存在が失われていく、緩慢な滅び。


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