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幼魔鬼譚〜悪戯好きのアリス〜
官能リレー小説 - ファンタジー系

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幼魔鬼譚〜悪戯好きのアリス〜 79

 まだ行方知れずの仲間達に謝りながら、目の前の遠呂智に何か一矢報えないかと右手を横に動かすと、何か柔らかい物が手に当たった。
 
 それは猿達が白面に返さず、そのまま地下まで持ってきた赤いコートだった―――
 

―――ホテル一階・ロビー―――

「まったく、とんでもない女だ」
 菊名に噛まれた股間を押えながら、炬俐が1階に上がってきた。
「いらっしゃいま………ちょっ、ちょっと君達!」
 ちょうどその時客が来たらしく、玄関の方でボーイの出迎えの声が聞こえたがどうも様子がおかしい。
 炬俐が玄関の方を見ると、客は10才ぐらいの男の子と女の子だった。
 当然、ここは子供が来るような場所ではない為、ボーイは二人を追い返そうとしていた。

(んっ? あいつら……)
 その子供達から、炬俐は強い妖気を感じた。
(あいつら妖怪か? 何故こんなところに)
 気になって子供達に近づいて行く炬俐に、少女の方が気づいて声を上げた。
「よぉ、炬俐じゃないか。おひさ〜」
 その途端、首から下はそのままで、少女の頭だけが骨の面をつけた男のものになる。
 その姿に炬俐とボーイだけでなく、一緒に来た色黒の少年までもが、「キモッ!」と言って驚いた。
「うげっ! 狂骨っ!」
「酷いなぁ。200年ぶりに再会した仲間に『うげっ!』はないだろ」
 狂骨はまた顔を少女のものに戻す。
「いや、悪い。しかしお前、何故ここに?」
 まだドキドキする胸を押えながら炬俐が尋ねる。
「何か新生茨木とか作ってる奴がいるみたいだから、捜してたんだよ」
「捜してどうするつもりだったんだ?」
「いやぁ〜」
 頭をかきながら、狂骨が答える。
「別に考えてない」
(………相変わらずいいかげんな奴だな)
 200年前の戦いの時から、狂骨はこんな調子である。
(ともかく、あまり長居されては困る。適当にあしらって追い返すか)
 その時炬俐の目に、狂骨の連れて来た少年が映った。
「ところで、そのガキは何だ?」
「俺の子」
「なにっ!」
「冗談だ」
「……テメェ」
「怒んないでよ。
 この子、人間の退魔師に親を殺されてね。
 街ふらついてたのを、俺が拾ったわけだ」
「ほぉ……」
 Tシャツに短パン姿で褐色の肌と、その少年からは活発な印象を受ける。
 生意気そうな目つきだが、顔立ちは中々のもの。
「なぁ狂骨。この坊主、我に譲る気はないか?」
「………お前、女だけじゃ飽き足らず、そっちの趣味も………」
「違うっ!」
 
『そっちの趣味』があるのは、炬俐の客の方であった………
 

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