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幼魔鬼譚〜悪戯好きのアリス〜
官能リレー小説 - ファンタジー系

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幼魔鬼譚〜悪戯好きのアリス〜 69

 涼子の頬に軽くキスをして、アリスは赤いランドセルを背負う。
「じゃ、学校行ってくるね」
 そう言って笑顔で部屋を出て行くアリスの笑顔は、まるで天使のようだった。

「………悪魔…なんだよね」
 
 
半ば無理矢理飲まされたアリスの血。
血の吹き出す胸元に口を付けると喉を犯すように駆け上り胃の府を熱くした。
その血は涼子が今まで怪我をしたときに嘗めていた血より甘く苦かった。
思い出すと喉が焼けるような乾きを覚え、何度も唾を飲み込む。
「悪魔に魂売っちゃったのかな…。」
携帯電話の目覚ましが登校時間が迫っているのを告げるのに我に返り、支度を始めようとする。
足下にはそれをワクワクしながら待っている色餓鬼。
「あの、終わったなら出てって…」
漫画やファンタジー小説の挿絵に出てくるような妖魔の姿は実際に見るとこの手の世界のボキャブラリーに乏しい涼子には醜悪の一言に尽きる。
「お前は何様だ?人間の分際で俺達に指図するか」
色餓鬼は涼子を威嚇するように頭から生える角を向ける。歪にくびれ、捻れる角は見方によってはベニスにも見える
「アリスに気に入られてるからっていい気になるな」
角は涼子の体をグリグリと突き付ける。
「やめてよ…」
掠れる声で抵抗すると色餓鬼は益々強気になった。
「媚び諂って(こびへつらって)るけど、俺達が本気になればあんな小娘もこの建物も簡単にだなあ…!」
アリスの後ろを腹が床に擦るくらいに平伏しながらついて来る色餓鬼はアリスがいないと強気になっていた。
他の色餓鬼もにじり寄りだす。
抉るように突き付ける角が涼子の乳房を突くと涼子は「嫌!」と叫び手を突きだした。
ばしぃん!づどん!「ぎぇっ…!」
涼子が突きだした手に色餓鬼は壁まで吹き飛ばされ気絶した。
他の色餓鬼達は飛ばされた色餓鬼を呆然と見ていた。
(触ってもいないのに…)手を突きだしたまま涼子も唖然とした。
まるで風圧で押されたように飛んでいったのだ。
「やったな…!」
一匹が我に返ると涼子に向かった。
「ひっ…!」
「覚えてやがれ!」「月夜の晩だけじゃないぞ!」「カーチャンで〜べ〜そ!」
口々に喚くと伸びてる色餓鬼を引き擦りながら部屋を出ていった。
「助かった…?」
涼子は手を突きだしたまま床にへたり込んだ。
学習机の上では充電器に立てられた携帯電話のアラームが最後通告のメロディーを奏で始めた。

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