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ピピの錬金術士 ビリーのアトリエ
官能リレー小説 - ファンタジー系

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ピピの錬金術士 ビリーのアトリエ 68


やがて馬車はガヴァロ城に到着した。
「よく来てくださった、ビリー殿」
ビリーとフリッツを出迎えたのは城主グレンバランと魔族の女将軍だった。
「お初にお目にかかります、ビリー様。私は魔王様直属の軍司令官クレメンティアと申します」
「…クメレンティアさん?」
「クレメンティアです。本日ビリー殿にご足労いただいたのは他でもございません。我が主、魔王リリー陛下が是非とも貴殿に一度お会いしてお話したい事があるとの事…つきましてはビリー殿に魔王宮までお越しいただきたいのです」
ビリーとフリッツは小声で話し合った。
「すご〜い、本当にフリッツの言うとおりだったわね」
「な?」
ビリーはクレメンティアに言った。
「わかりました。クレンメティア将軍、魔王様には是非ご挨拶申し上げねばと思っていました。魔王都へ参ります」
その言葉を受け、クレメンティアはリリーに頭を下げた。
「有り難く思いますリリー殿!それと私の名はクレメンティアですので…」
「はい。それで、出立はいつ…?」
「今すぐです!」
「はあ?」
ビリーは首を傾げた。
タラント領から魔王都までは徒歩で約一週間、馬でも2〜3日の距離だ。
それなりの旅支度という物が必要なはずである。
「ご心配には及びません。グレンバラン閣下…」
「うむ…」
クレメンティアはグレンバランに目配せし、グレンバランは部下に何か指示を出した。
やがて部下が報告に来る。
「用意が整いました。こちらへどうぞ!」
ビリーとフリッツは案内されるがまま、砦の地下へと通された。
「こ…これは…!!」
そこにあったのは巨大な魔法陣だった。
「この魔法陣は……ん〜と…何だっけ?」
「転送魔法だよ!転送魔法!!アカデミーで習っただろう」
ボケるビリーに突っ込むフリッツ。
グレンバランは説明した。
「その通りだ。これを使えば一瞬にして魔王都まで行く事が出来る。同じ物が魔王宮の地下にもあり、そこに通じているのだ。ただし、この魔法陣には制限がかかっている。これを発動させられるのは魔族だけ。我ら獅子族には無理だ。それに、こちらからあちらへ転送する場合は一度に人一人しか送れない」
逆に魔王宮からガヴァロ城へは何の制限も無いのである。
これは各氏族の居城にあり、十氏族の内いずれかが魔王に対して反旗を翻した場合、即座に現地に軍部隊を送れるようにするための装置なのである。
確かに、いきなり城の中に大軍が出現されてはたまった物ではない。
「ではビリー殿、その魔法陣の中央にお立ちください」
「は…はい」
ビリーは言われた通りにする。クレメンティアは魔法陣の側に立ち、呪文の詠唱を始めた。
魔法陣が光輝き始める。
その光は次第に強まり、やがて目を開けていられない程になり、ついには光で視界が覆い尽くされたかに見えた次の瞬間、消えた。
そこにはもうビリーの姿も無かった…。


「あ…あれぇ〜?ここは…」
強烈な光にやられた目がようやく慣れてきたビリー。
「ようこそおいでくださいました、ビリー殿。魔王陛下がお待ちでございます」
「あ、ども…」
目の前に整列していたのは魔族の武官と兵士達、その全員が若い女だった。辺りを見回してみると、先程まで居たガヴァロ城の地下室よりも広く天井も高い。してみるとここはもう魔王城なのだろうか…。
「さあ、こちらでございます…」
案内されるまま階段を上り、地上一階に出る。魔王城というからには、いかにもおどろおどろしい幽霊屋敷のような城を想像していたが、全くそんな事は無かった。白い壁に大理石敷きの床に赤い絨毯…人間の国の王宮と何ら変わりは無い格調高い上品な造りだ。

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