群れなして蠢く美しき屍 64
きっと与えられる精液が大量であったなら、その干からびた肉体を瑞々しく復活させて出てくるのだろう。
しかし岩からしみ出す水のようなペースではそれすらままならないようだ。
そして何も知らない誠たちがその場を離れればもう終わり。
精液というエネルギー源を失った彼女たちはもう二度と日の目を見ることはないだろう。
2人のミイラは上から流れてくる精液の1滴1滴を味わいながら思う。
―――モット。モット、ホシイ―――
ミイラたちはわずか精液を全身でむさぼりながら、考える。
どうすればここから抜け出し、この芳醇な精液を大量に味わうことができるのかと。
ここを出るためには干からびた身体を回復させなくてはいけない。
でも今与えられている精液の量ではとても足りない。
どこか、どこか他に栄養となるものはないのか?
そこで2人はあることに気づく。自分たちの身近にあったではないか。
精液以外に自分たちが復活するのに必要な栄養が。
それはまっとうな思考を持つ人間ならまず考え付かない、飢えたミイラだからこそ思いついた方法。
本能全開の彼女たちは、その方法を思いつくなり迷わずそれを実行に移した。
自分たちを狂わせる、このかぐわしい白濁液を心行くまで味わうために。
「おっ、おっ、おおお〜〜〜〜っ♪」
「す、ステキっ!ステキしゅぎましゅ、ごひゅひしゃまぁ〜〜〜♪」
「びゅ、びゅくびゅくっ!お、おなかの中、ご主人様のせーえきでいっぱいぃ・・・っ!
し、幸せすぎるぅ〜〜〜っ♪」
地下の変化など知る由もない誠たちは、弥生たちへの餞別のことなどすっかり忘れてすっかりお楽しみに夢中であった。
たっぷりとその身にザ○メンシャワーを浴びた後は口にも子宮にも、直腸までにもしっかりと注いでもらっていた。
普段ならそろそろ誠が美樹たちをぶん殴って正気に返らせるところだが、その誠も度重なる射精の快楽でおかしくなってしまったのか、女体をひたすらむさぼっていた。
もう地面が見えなくなくくらいの尋常じゃない量を放出しているのに、性欲も精液も、まるでとどまるところを知らないのである。
まるで湖の水を手酌で空にしようとしているかのような、不思議な感覚。
質量保存の法則を完全に無視した、奇跡の光景だった。
しかしその奇跡を体現している本人はあまり喜んでいる様子はない。
いや喜んでないと言うより・・・安堵や脱力感、困惑や恐怖など様々な感情がごちゃ混ぜになっていると言ったほうが正しいかもしれない。
(くそっ、くそっ、くそっ・・・!
いったいどうなっちまってるんだ、オレの身体!
どう見たって異常なくらい出してんのに、チン○が一向に治まらねえ!?
しかもコイツらが参るくらいにヤリ続けてんのに、こっちの体力は全然衰えねえし・・・!
オレは発情期を初めて迎えたサルか何かかよっ!?)
このままではいけないと訴える誠がいる。
そしてそれと同時にこのまますべてを忘れてヤリ続けたいと叫ぶ誠もいる。
美樹たちみたいに細かいことを気にせず、快楽にふけっていられればいっそ楽になれるのに。
彼はどうしても残された理性を捨て去ることができず、それゆえに快楽と苦しみを同時に味わっていた。
誠はせめてこの胸のもやもやを晴らそうと、次の女に手をかけた・・・が。
その手が急にピタリと止まる。
「・・・?おまえ・・・誰だ?」
それもそのはず、手首をつかまれた少女はここに来るときにはいなかった少女だったからだ。
少なくとも誠の連れている女たちの中に、こんな○学生くらいの幼い女の子はいない。
いや、そもそも目の前の少女は本当に子供なのだろうか?
少なくとも、幼い子供は手のひらに余るほどの不釣り合いな2つの乳房をつけてなどいない。
いつ、どこから入り込んできたのかすらわからないほど自然に入ってきた少女は、虚を突かれて呆然とする誠にさらに驚くべき言葉を伝えた。
「わ・・・ワ、たし、私・・・ハ、弥生。いや・・・月(ゆえ)?
うウン、私、アタシ、は―――」
聞き覚えのある名前を聞いて驚いた誠は地面を見回し、異変を探る。
それはすぐに見つかった。
誠たちが乱交にふけるその近くの地面に、人1人が通れるくらいの大きな穴がぽっかりと口を開けていたのだ。
つまり、目の前の少女は―――。
「あ・・・あレ?弥生?月?私・・・どっチなんデしょう、誠サマ?」
「え・・・ええぇぇぇ―――ッ!?」
ミイラとなって死んだはずの2人の女のどちらかが、別人になって蘇った。
ゾンビ映画でしか見たことのない虚構を前に、誠はただただ驚くことしかできなかった。
死んでいたはずの2人が生き返った。
カラカラに干からびたミイラの状態から。
それも2人が1つとなって。
まるでマンガみたいな奇跡を目の当たりにし、誠はおろかその場にいた誰もが言葉を失った。
生き返った当の本人以外は。
「・・・?」
絶句し、硬直する仲間たちを前にきょとんと首をかしげる弥生と月だった女。
しかし彼女がおとなしくしていたのはそこまで。
グキュルルル〜〜〜っ。
「ん。おなカ、スきましタ」
「え?お、わあっ!?」
盛大に腹を鳴らした元死人の少女は、そう言うなり主人(?)である誠を押し倒し、何の躊躇もなく誠の肉棒を口に含んだ。
そしてジュルジュルとたっぷりの唾液を絡め、恍惚の表情でしゃぶり始めた。