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ピピの錬金術士 ビリーのアトリエ
官能リレー小説 - ファンタジー系

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ピピの錬金術士 ビリーのアトリエ 61

「いや、ビリーはここにいるみんなと一緒に行動してくれ!」
「どうして!?足手まといになるから!?私だって少しは戦えるわ!私はボルゲーノの…鬼族の長の妻よ!!みんなを守る責任があるわ!!」
「ビリー!!」
フリッツはビリーの両肩を強く掴んで言った。
「長の妻だからこそ、今目の前にいる人達を見捨てちゃダメなんだよ!今戦えるのは僕と君しかいないんだ!もし二人ともここからいなくなって、その隙にみんなに何かあったら誰が守るんだ?ピピ軍の別働隊がいないとも限らない。それに…」
「それに…?」
「い…いや、何でもない!とにかくみんなを頼んだよ!」
「…うん!分かった。気を付けてねフリッツ!」
その言葉を背にフリッツは走って行った。
(危ない危ない…ビリーはもう人妻なんだから…)
フリッツが飲み込んだ言葉…それは彼のみぞ知るのであった。

「キャアァ〜〜ッ!!!」
「い…嫌ぁ〜〜っ!!?助けてぇ〜っ!!」
ビリーの予想通り、襲われていたのは逃亡中の鬼族の女子供達の一団だった。
襲っていたのは神聖ジーク軍である。
「アーッハッハッハッハァ…ッ!!!殺せぇ!!異教徒共を皆殺しにしろぉ!!!」
指揮官のアーロンは狂ったように笑いながら剣を振りかざして部下達に指示を出した。
ゲリラを討伐するためにシナイ山中に兵を進めたが、まさか女子供だけの集団に遭遇するとは思ってもみなかった。
まさに飢えた獣の前に死にかけた小動物が現れたようなもの。
異常なまでに異教徒を敵視するアーロンはもちろん、兵士達もまた、本国に帰還する途中で襲われて死んだ仲間の仇とばかり、鬼族の女子供達に襲いかかったのであった。

「バリー!」
「アリー!」
アリリアーナとバレッタは大きな木の陰に身を隠し、抱き合って震えていた。
「私達これでお終いですの!?」
「このままでは見つかるのも時間の問題ですわ!」
「私まだ死にたくありませんわ!」
「私もですわ!やり残した事がいっぱいありますわ!」
「あんな事や…」
「こんな事や…」
「アァン…そんな事まで…」
何を想像しているのか、今の状況を忘れて顔を赤らめる二人。
どうやらお互いの考えている事も伝わるらしい。
そこへ…
「ククク…見つけたぞぉ?」
血走った目のアーロンが二人の目の前に立ちはだかった。
「「ギャアァァ〜〜〜ッ!!!?」」
二人の少女の絶叫にアーロンは思わず顔をしかめる。
「見つかりましたわ!」
「淫らな妄想に浸っていて気付くのが遅れましたわ!」
「バリーがあんな事考えるから…!」
「アリーだって…!」
二人を見ていたアーロンは彼女達が鬼族と人間の混血である事に気付いた。
「忌まわしい存在め…!!この私が神に成り代わって地獄へ送り返してやる!!」
そう言うとアーロンは剣を振り上げた。
アリリアーナとバレッタはギュッと身を寄せ合ってアーロンに言った。
「き…斬るなら二人まとめて斬ってくださいませ!!」
「そうですわ!私達最期まで一緒ですわ!!」
「良い覚悟だ…望み通りにしてやるっ!!!!」
「バリーッ!!!」
「アリーッ!!!」
アーロンの剣が二人に向かって振り下ろされた。

ところが…
「……?」
「…あら?」
いつまでも経っても自分達の命を奪いに来るはずの衝撃が来ない。
恐る恐る目を開ける二人。
そこには…
「慈愛の神フリートは異教徒だというだけで何の罪も無い子供を殺せと言ったか…?」
「あ…あぁ…ぁ…」
尻モチをついたアーロンと彼の前に剣を手にして立ちはだかるフリッツの姿があった。
アーロンの右手は肘から下が無くなっていた。
「「フリッツ様ぁ…っ!!?」」
「神の名の下に人々を支配し罪無き人々を殺す…貴様らこそ地獄に堕ちろ…っ!!!」
フリッツの剣がアーロンに振り下ろされた。
「ギャアァ―――ッ!!!?」
断末魔の叫びを上げて倒れ伏すアーロン。
「フリッツ様!!」
「フリッツ様ぁ!!」
アリリアーナとバレッタは泣きながらフリッツに駆け寄り、飛び付いた。
「助けに来てくれたんですのね!?」
「やっぱりフリッツ様はやってくれると思ってましたわ!」
「ふ…二人とも…!気持ちは嬉しいけど感動の再会はちょっと後回しにしてもらえるかい…!?」
既に三人の周りを神聖ジークの兵士達が取り囲んでいた。

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