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幼魔鬼譚〜悪戯好きのアリス〜
官能リレー小説 - ファンタジー系

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幼魔鬼譚〜悪戯好きのアリス〜 7

それは人間の頭だった
だが、ただの人の顔ではない
全ての皮が捲れ、さらに火か薬でケロイド状に爛れて赤くヌメッタ男の頭だった
それが換気口の奥に引っ込んだのだ。換気扇の口径と殆ど変わらない非常に狭い管の中に
(妖気は……大したことないな。それに動く様子もない)
 とりあえず下を向き、手にしたトイレットペーパーで股間を拭う。
 
コフゥー…コフゥー
 
「?!」
 またあの息遣いが聞こえてきた。
 それにネットリとした視線も感じられる。
(どうやら『用を足しているのを見て興奮する変態』ってのは正解みたいだぜ、おっちゃん)
 とりあえず、妖を換気口から引きずり出さないとどうにもできない。
(『アレ』使って、天井ごと……って訳にはいかないよな)
 上を見ないようにしながら立ち上がり、紙をトイレに流す。

 そして褌を手に取り、締めなおそうとしたとき…
「ミ…タ…イ…」
「!」
 初めて上の妖が声を発した。
「ミタイ…モットミセテクレ……」
 ガンッ!ガンッ!
 そして、換気口を塞いでいる金網に首がぶつかってきた。
 上を見上げ、紅夜叉はその様子を見上げていたが…
 ポタ…ポタ…
「うわっ!」
 上から血が滴り落ちて来て、危うく紅夜叉にかかるところだった。
「ウウッ……カナアミニマケタ…」
 どうやら逆に、首のほうが怪我をしたらしい。
「モウ、カナアミゴシハイヤダ……ジカニ、チカクデミタイ……ソシタラジョウブツスル…」
「成仏って…あぁ、そういうことか」
 なんとなく、紅夜叉にも真相が読めてきた。
 
 人間が強い恨みや未練を残して死んだとき、魂が強力な妖気に当てられると『幽鬼』や『屍鬼』といった妖と化す場合がある。
 この男は多分、覗き目的でダクト内に潜り込み、そこでつっかえるかどうかして死んでしまったのだろう。
 その時、偶然近くに強い力をもった妖がいて、その妖気に当たって妖化したのだ。
 
「…よし分かった、オレが見せてやるよ」
「ホントウカッ!?」
 焼け爛れて分かりにくいが、男の顔に笑顔が広がる。
「それで、お前何処からそこに入った?」
「オクジョウノハイキコウ…ソコカラハイッタ」
「じゃぁ、そこで待ってろ。オレが今から行くから」
「ワカッタ!」
 そう言うとすぐゴロゴロという転がる音と共に、男の首は遠くの方へと行ってしまった。
「…さてと」
 その後紅夜叉は褌を締めなおして、奈落を鞘から引き抜いた。

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